- データはアメリカの中年期に関する全国的な縦断的調査(MIDUSプロジェクト)から収集されました。
- 調査は1995年から96年に開始され、
その後、2004年(約9年後)および2013年(さらに9年後)に追跡されています。 - 研究対象は、結婚していることを報告した1965人の参加者で、
同じ結婚相手と継続的な関係を持つ人々が含まれています。
ビッグファイブ性格特性とは?
人間の性格を5つの大きな特性で説明するモデルです。
各特性は連続的で、どの程度その特性を持つかが個人によって異なります。
参加者の性格特性は以下の5つの領域で測定されました。
- 外向性(Extraversion): 外交的、活発的な特性
- 調和性(Agreeableness): 協調的、共感的な特性
- 誠実性(Conscientiousness): 計画的、責任感のある特性
- 神経症的傾向(Neuroticism): 感情の不安定さ、ストレス耐性の低さ
- 開放性(Openness to Experience): 好奇心旺盛で新しい体験に対して前向き
ビッグファイブは、人がどんな性格かを5つの特徴で大まかに説明できるモデルです。
これを知ることで、自分の強みや課題、他の人との違いを理解しやすくなります。
なぜ大事なの?
- 自分や他人の性格を理解し、
コミュニケーションや関係性を良くする手助けになります。 - 性格を細かく分けず、大まかな枠組みで捉えることで、
日常生活に取り入れやすい。
自分の特性を理解し、相手の特性を理解することで、
自己理解、開いて理解が深まり、他者との違いを知ることは、
ストレスの少ないコミュニケーションを取ることが可能となります。
ビッグファイブと結婚満足度
ビッグファイブと満足度の関連
神経症的傾向が高いと満足度が低くなる傾向がある。
誠実性、調和性、外向性の高い人は満足度が高い傾向がある。
開放性は満足度への影響が比較的弱い。
満足度が高い場合と低い場合の違い
満足度が高い場合は、夫婦間の良好なコミュニケーションやストレスの軽減が確認される。
満足度が低い場合、意見の相違やストレス、関係のリスクが増加する。
満足度を向上させる改善方法
満足度を向上させるためには、
以下の要素が有効と考えられます(研究一般論に基づく)。
・良好なコミュニケーションスキルの育成。
・ストレス管理とサポートの向上。
・夫婦間の柔軟な役割分担と協力。
時間とともに明らかになった変化
- 性格特性の変化:
- 神経症的傾向(Neuroticism)は全体として減少する傾向が確認されています。
ただし、これが結婚満足度の低下と関連する場合もあると指摘されています。 - 誠実性(Conscientiousness)は時間とともに上昇する傾向がある一方で、
初期の高い誠実性は満足度の低下を予測する可能性が示されています。 - 調和性(Agreeableness)や外向性(Extraversion)は中年期以降に低下する傾向が見られる。
- 開放性(Openness to Experience)も全体的に減少するが、結婚満足度との関係は弱い。
- 神経症的傾向(Neuroticism)は全体として減少する傾向が確認されています。
- 結婚満足度の変化:
- 満足度は一般的に増加する傾向が示されています。
- 特に、長期間の結婚生活や「空の巣」期間(子どもが家を離れた後)において、
満足度が上昇する可能性があると考えられます。
- 相互関係:
- 性格特性の変化(特に神経症的傾向と誠実性)は結婚満足度の変化と相関しています。
- 神経症的傾向の増加は満足度の低下を伴う一方、
誠実性の増加は満足度の向上に関連しています。
神経症的傾向と誠実性と満足度
神経症的傾向(Neuroticism)と結婚満足度
- 神経症的傾向が高いと、以下が確認される
- ストレスやネガティブな感情に過剰に反応しやすく、
夫婦間の対立が増加する可能性。 - 自己破壊的な思考や行動(例: 配偶者との関係で自己批判的な言動)が満足度の低下に寄与する。
- 結婚生活の初期段階では低い満足度を予測するだけでなく、
時間の経過とともに満足度がさらに低下する可能性がある。
- ストレスやネガティブな感情に過剰に反応しやすく、
誠実性(Conscientiousness)と結婚満足度
- 誠実性が高い場合、以下が確認される:
- 責任感が強く、
夫婦間のコミュニケーションやタスク分担において協力的。 - 長期的な関係維持に必要な行動(例: 衝突を避けるための努力)が見られる。
- 誠実性が向上すると、
結婚満足度が上昇する傾向があり、時間の経過とともに夫婦関係が強化される。
- 責任感が強く、
相関の背景
- 動的関係:
- これらの性格特性は単方向的な影響だけでなく、
結婚満足度との相互作用としても影響する可能性があります。 - 例えば、満足度の低下は神経症的傾向を悪化させる「悪循環」を引き起こす可能性がある一方、
満足度の向上は誠実性をさらに高める「好循環」をもたらすことが考えられます。
- これらの性格特性は単方向的な影響だけでなく、
満足度には神経症的傾向と誠実性の高低が鍵ということになります。
ここからわかることは、満足度は相手との距離の取り方が鍵になってくるのではないかということです。
私たちは常に自分が中心となり相手とコミュニケーションを取ります。
自己理解し、相手位理解することで、良好なコミュニケーションを取ることが可能となります。
相手の特性を理解することの重要性を知っていただけたのではないでしょうか。
次回も性格特性と結婚の満足度を詳細にお話しできたらと思います。
最後までご覧いただきありがとうございます。
参考資料
O’Meara, Madison S., South, Susan C. (2019). 『Big Five personality domains and relationship satisfaction: Direct effects and correlated change over time』, 2024年11月20日アクセス. https://doi.org/10.1111/jopy.12468