ビッグファイブ分析とセールスパーソン

ビッグファイブ性格特性によるセールスパーソンの資質に関する一考察」は、
ビッグファイブ性格特性を用いてセールスパーソン(営業職)の資質を分析し、
営業管理や人材育成への応用可能性を探った内容です。
以下に要点をまとめてご紹介します。


研究の背景と目的

営業活動は企業の売上を支える重要な役割を担っています。
本研究では、営業職の性格特性を理解することが、
採用、配属、人事異動などの営業管理に役立つと仮定し、
分析を行いました。

分析には、心理学分野で確立されたビッグファイブ性格特性
(外向性、神経質傾向、誠実性、調和性、開放性)が用いられました。


ビッグファイブ性格特性の概要

  • 外向性: 活発で社交的な性格。
  • 神経質傾向: 感情の不安定さやストレス耐性。
  • 誠実性: 責任感や計画性の高さ。
  • 調和性: 他者への共感や協調性。
  • 開放性: 新しいアイデアや体験への柔軟性。

データ収集と分析

  • 調査対象: 営業職(セールスパーソン)、大学教員、大学生の計155名。
  • 手法: アンケート形式でビッグファイブ性格診断を実施。
  • 結果:
    • 営業職では外向性が高い傾向が見られました。
    • 他の特性(神経質傾向、誠実性、調和性、開放性)でもグループ間の差異が確認され、
      職種や経験が影響していることが示唆されました。

特性ごとの考察

  1. 外向性:
    営業職では外向性が他グループより高い傾向があり、
    顧客との関係構築に重要な特性とされています。
  2. 神経質傾向:
    営業職では、
    締切や顧客対応に伴うプレッシャーが神経質傾向に影響している可能性が高いです。
  3. 誠実性:
    社会経験を通じて培われた責任感や計画性が、
    セールスパーソンの誠実性に反映されています。
  4. 調和性:
    調和性が高いことで、
    顧客やチームメンバーとの信頼関係構築に寄与しています。
  5. 開放性:
    開放性は必須ではありませんが、
    新規市場開拓や異文化対応など特定の状況で重要です。

営業形態への適用可能性と成果

  • インサイドセールス:
    外向性よりも誠実性や調和性が重要で、
    効率的な情報管理が業績向上につながります。
  • ハイブリッド営業:
    外向性と誠実性のバランスを重視し、
    対面と非対面営業を組み合わせることで効果を発揮します。
  • データ活用型営業:
    CRMツールTENPiNを活用したパーソナライズされた
    顧客対応により営業効率が向上しています。

実際の成果:
クラウドマネジメントツール「TOiTOi」を活用して、
性格特性に基づいた適材適所の人材配置を行うことで、
以下の成果を確認しました:

  • 営業チームの生産性向上。
  • 1on1ミーティングの実施頻度向上(最低月1回の実施が条件)。
  • メンバー間の信頼関係強化とコミュニケーションの活性化。

※私たちのツール活用は、
こちらでご紹介している研究の一環で行なったものではありません。

成果についてはこちらから


考察とまとめ

本研究は、
ビッグファイブ性格特性が営業職の資質分析や
人材配置において有効であることを示唆しています。


また、性格特性を活用した教育プログラムや新しい営業形態への適用可能性も確認されました。
さらに、実際の導入成果として、
業務効率化やチーム全体の活性化が図られたことが重要なポイントです。

最後までご覧いただきありがとうございます。

参考文献

北中英明・横田絵理(2018).「北中英明・横田絵理(2018).「ビッグファイブ性格特性によるセールスパーソンの資質に関する一考察」.『経営情報学会 全国研究発表大会要旨集』,2018年秋季全国研究発表大会,283-286.