不登校の数が過去最高という記事を目にしました。
増え続ける不登校。
不登校にも傾向があり、
ビッグファイブ分析でその傾向を調査し、
不登校生徒への対応方法を研究した資料がありました。
この研究は大学生に対して中学生当時の不登校経験を回顧法に基づいて質問し、
不登校傾向を持つ生徒の性格的特徴(誠実性、社交性、自己中心性、内向性など)と、
それに対して周囲が行った対応周囲からの支援
(学校や家庭、友人からのサポート)を整理・分析しています。
不登校生徒に対するサポートのヒントになれば幸いです。
不登校傾向の中学生における性格的特徴
この研究は大学生に対して中学生当時の不登校経験を回顧法に基づいて質問し、
不登校傾向を持つ生徒の性格的特徴(誠実性、社交性、自己中心性、内向性など)と、
それに対して周囲が行った対応周囲からの支援
(学校や家庭、友人からのサポート)を整理・分析しています。
この研究では、不登校傾向の中学生に見られる性格的特徴として以下のパターンが示されています
誠実性 –
真面目で正義感が強い傾向を持つ。
社交性 –
他者との交流を好み、人付き合いが得意で明るい性格。
自己中心性 –
自分の考えや気分に基づいて行動する傾向で、他者に対する思いやりが少なく、固執的で感情的な傾向も含む。
内向性 –
傷つきやすく、控えめで他者の視線に敏感な性格を示す。
特に【自己中心性】と【内向性】は、
不登校傾向に関連する特徴として強く表れ、
サポートが重要とされています。
性格特性パターンと人物像とそのサポート
性格の特性は男女問わず共通して見られました。
誠実性
特徴:
真面目で正義感が強い人物像。行動が一貫しており、他者に対しても責任感を持つ。
サポート:
「受容」や「相談対応」といった支援が効果的であり、学校や家庭で安心して話ができる環境が求められる。
社交性
特徴:
他者との交流を好み、明るく親しみやすい性格。他人と協力しやすく、友達思いな面が強い。
サポート:
友人からの「励まし」や「受容」が重要で、特別扱いせず自然な形での関わりが効果的。
自己中心性
- 特徴: 自分の考えや気分に基づいて行動する傾向が強く、時に融通が利かない固執的な面や、感情的な側面が見られる。
- サポート: 「親身な関わり」や「状況把握」が重要で、特に家族からの温かい支援が必要。
内向性
- 特徴: 傷つきやすく、他者の視線を気にするため控えめで、人見知りな性格が見られる。
- サポート: 友人や家族からの「受容」や「状況把握」が有効で、本人の気持ちに寄り添う支援が求められる
情緒的サポートと道具的サポート
不登校傾向の中学生に対する家庭環境の影響についても触れられています。
家族からの対応は、特定の性格特性に応じて異なる形で行われました。
情緒的サポート
受容
本人の「学校に行きたくない」という気持ちを受け入れる声かけが行われました。
この対応は、誠実性や内向性の高い生徒に対して多く見られ、
無理なく本人を支えることを意識しています。
相談対応
家族が本人の話を聞き、
悩みを共有することで心理的な支えを提供する対応です。
内向的で傷つきやすい性格特性を持つ生徒には特に有効で、
家庭環境内で安心感を提供しています。
登校の促し
誠実で真面目な性格を持つ子どもに対して、
学校に行くよう促す声かけが行われています。
これは、本人の特性に応じて適切なタイミングでのサポートを行い、
復帰を助ける意図が含まれています。
協力
家族が一緒に学校に同行するなど、
具体的なサポートを提供するケースもありました。
これは、特に社交的な性格の子どもが抱える問題に対し、
家族が積極的に関わることで不安を軽減する目的で行われています。
状況把握
家族が子どもの状況や感情を敏感に察知し、
必要に応じてサポートを提供するための声かけが行われています。
自己中心性や社交性の高い生徒に見られ、
家庭環境でのサポートの一環として重要視されています。
このように、家庭環境における家族の支援は、
性格特性に応じた多様な対応が求められており、
不登校傾向の軽減に重要な役割を果たしているとされています。
道具的サポート
道具的サポートとは、
不登校傾向の生徒が学校に戻るための具体的かつ実質的な支援を指しています。
一般的に、道具的サポートには以下のような内容が含まれます:
学習支援:
別室での授業や家庭教師の派遣、
オンライン授業の提供など、
生徒が通常の学習環境から離れても学業を続けられるようにする措置。
環境調整:
教室外での登校や、
少人数でのクラス設定、登校時間の柔軟な調整など、
生徒が無理なく登校できる環境を整える対応。
学校外支援サービス:
カウンセラーや専門機関と連携し、
メンタルヘルスや心理的サポートを外部から受けられるようにする支援。
このような道具的サポートは、
情緒的なサポートと併用されることで、
心理的な負担を軽減しながら、
学校復帰へのステップとして有効とされています。
サポートは心理的安全性のある環境
不登校傾向の中学生への支援内容は、
心理的安全性のある環境の構築といった観点から、
上司と部下の関係にも応用できる側面があります。
心理的安全性と支援方法の共通点
受容
上司が部下の考えや感情を批判せずに受け入れることで、
部下は自分の意見を安心して表現できるようになります。
これは、部下が自己を守るための心理的安全性を感じ、
リスクを取る勇気を持つために重要です。
相談対応
上司が部下の話を積極的に聞くことで、
部下は自分の意見や悩みを共有する安心感を得ます。
上司が時間をかけて耳を傾ける姿勢は、
信頼関係を築く基礎となり、
部下のモチベーションや成長意欲を支えます。
状況把握
部下のコンディションや状況に気を配り、
必要に応じて声をかけることは、
上司が部下に対して関心を持ち、
サポートを惜しまない姿勢を示すものです。
これにより、
部下は自分が大切にされていると感じ、
職場での心理的安全性が向上します。
励まし
上司が部下に対して前向きなフィードバックや激励の言葉をかけることで、
部下は挑戦や学びに対するモチベーションが高まります。
部下が成長するために必要な安心感とエンパワーメントが提供されることで、
より意欲的に仕事に取り組むようになります。
結論
不登校傾向の生徒への支援で見られる方法は、
上司と部下の関係においても同様に、
心理的安全性を醸成し、
信頼を基にした健全な職場関係を築くために効果的な手法として模倣する点が多いです。
最後までご覧いただきありがとうございます。
参考資料
沖井 仁、堀井 俊章.“不登校傾向の中学生における性格的特徴と周囲からの支援との関連-大学生を対象とした回顧法を用いて-”.YNUレポジトリ.https://ynu.repo.nii.ac.jp/record/2000288/files/7-1-23.pdf (2024年11月3日)