令和7年度税制改正 – 個人所得課税の改正内容と影響分析

令和7年税制改正大綱の中の個人所得課税改正の内容についてみていきます。

個人所得課税の改正内容

1. 基礎控除の引き上げ:具体的な内容と影響

改正内容

  • 基礎控除額引き上げ:
    所得金額 2,350万円以下 の個人について、控除額を48万円 → 58万円に増額。
  • 段階的縮小:
    2,350万円を超えると控除額が徐々に減額され、2,500万円超では控除対象外。

国民生活への影響

  1. 低〜中所得層の負担軽減:
    • 実質的な課税所得の減少による税負担の軽減
    • 可処分所得の増加による生活の安定や消費拡大への貢献。
  2. 物価上昇への対応:
    • 昨今のインフレを背景に、実質所得の目減りを補填する措置。
    • 特に食料品や生活必需品の価格高騰を補う形で、家計支援効果が期待される。
  3. 高所得層への負担強化:
    • 2,350万円を超えると控除額が段階的に減少し、2,500万円超では控除対象外。
    • 高所得層には増税感が生じる可能性があり、節税対策や投資へのシフトが強まると予測される。

影響を受ける業種・業態

  1. 高収入の専門職・経営層:
    • 医師、弁護士、公認会計士、コンサルタントなど高額所得者層への増税影響が顕著。
    • 節税対策の強化(企業型確定拠出年金の活用や法人化)が進むと予測。
  2. フリーランス・個人事業主:
    • 控除額の増加により、実質的な税負担減が恩恵となる。
    • 事業所得の増減に応じた柔軟な所得計画や節税策が求められる。
  3. 中小企業経営者や役員報酬者:
    • 高所得層の報酬体系や役員報酬の設計見直しが必要になる場合も。
  4. 金融業界・FP業界:
    • 投資・資産形成に関するアドバイス需要が増加。
    • 節税商品(iDeCoやNISA)への資金流入を促す営業強化が進む。

2. 給与所得控除の拡充:具体的な内容と影響

改正内容

  • 最低保障額を55万円 → 65万円に引き上げ。
  • 物価上昇や給与上昇への対応策として控除枠を広げ、
    実質的な課税所得を減少させる措置。

国民生活への影響

  1. 給与所得者の負担軽減:
    • 給与所得控除の拡大により、可処分所得が増加。
    • 特に年収が低めの層や共働き世帯への恩恵が大きく、生活改善につながる。
  2. 働き方改革への対応:
    • 非正規雇用や短時間労働者も給与所得控除の恩恵を受けやすくなり、働きやすい環境が整う。
    • 扶養控除の強化も相まって、学生やパート主婦層が労働市場に参加しやすくなる。
  3. 企業負担と賃上げ促進:
    • 従業員への賃上げによる税優遇策との相乗効果で、
      企業側の給与支給増加に向けたインセンティブが強まる。

影響を受ける業種・業態

  1. 給与所得者全般(サラリーマン・パート・アルバイト):
    • 可処分所得の増加により、消費拡大や生活向上への好影響。
    • 特に低所得層が恩恵を受けやすい。
  2. 学生アルバイト層:
    • 親の扶養控除を維持しつつ、アルバイト収入を増やせる環境が整備される。
    • 学費や生活費の負担軽減につながる。
  3. サービス業・飲食業:
    • 学生や主婦層が働きやすくなることで人手不足の緩和が期待される。
  4. 中小企業:
    • 人材確保や賃上げへの対応強化。
    • 設備投資やIT化への資金再配分が進むことで、事業効率の向上が見込まれる。

3. FPからの提言

  1. 節税対策と資産形成支援の強化:
    • 高所得者は控除制限を受けるため、
      法人化や退職金制度などを活用した節税戦略が重要。
    • NISA・iDeCoへの資金移動を促すプラン設計のニーズが増加。
  2. 給与設計と扶養控除活用のアドバイス:
    • 学生アルバイトや共働き世帯の給与設定を最適化し、
      税制優遇を最大限活用する戦略が求められる。
  3. 中小企業へのアドバイザリー強化:
    • 設備投資支援策を活用し、節税と生産性向上を同時に実現する計画の提案。
    • 賃上げ促進税制を活用した人件費増加分への補助を提案。
  4. インフレ対策と老後資産形成の支援:
    • インフレ対策としてNISA・iDeCoを活用した資産防衛プランを提案。
    • 高齢者層には贈与税の改正や相続税対策の見直しを提案。

4. まとめ

令和7年度税制改正は、物価上昇に対応しつつ、格差是正や経済成長を支える仕組みとして設計されています。

一般家庭への影響

  • 可処分所得の増加と節税メリットを生かし、生活設計や資産形成が有利に進められる。

業種別影響

  • 高所得専門職や経営者には負担増となるため、節税対策が必要。
  • 一方で、低所得層や中小企業には支援策が手厚く、働き方改革と地方創生を後押し。

FPからの助言

  • 改正を正確に理解し、
    収入やライフプランに応じた最適な節税戦略を早期に検討することが求められます。

最後までご覧いただきありがとうございます。

参考資料

令和7年税制改正大綱

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