
前回は組織の健康状態における6つの主要な変化について解説しました。
ここでは9つの主要な指標について詳しく解説していきます。
組織の健康を測る9つの主要な指標と実践方法
組織の健康を高めるためには、
以下の9つの指標をバランスよく強化することが重要です。
各指標について詳しく解説し、
企業がどのように社員に落とし込み、
全社一丸で取り組めるかについても紹介します。
1. 方向性(Direction)
◉ 概要
組織が明確なビジョン、戦略、目標を持ち、
それが社員に理解され、共有されているかを測る指標。
☑️ 重要なポイント
- 組織のミッション・ビジョン・バリュー(MVV)が明確か
- 経営戦略が具体的であり、社員に理解されているか
- 全社員が組織の目標に共感し、一体感を持っているか
◆ 実践方法
☑️ トップが繰り返しビジョンを発信
☑️ 社内ミーティングで戦略の背景を説明
☑️ 社員のフィードバックを定期的に収集し、戦略をブラッシュアップ
2. リーダーシップ(Leadership)
◉ 概要
組織のリーダーが明確な意思決定を行い、
社員を導く力を持っているかを測る指標。
☑️ 重要なポイント
- トップダウンとボトムアップのバランス
- リーダーがビジョンを示し、適切な意思決定を行う
- 社員の自主性を尊重し、成長を支援する
◆ 実践方法
☑️ リーダー向けトレーニング(コーチング、フィードバック技術)
☑️ 組織のビジョンを伝える場を設ける
☑️ 社員の意見を取り入れ、透明性のある意思決定を行う
3. 職場環境(Work Environment)
◉ 概要
社員が安心して働ける環境が整っているかを測る指標。
☑️ 重要なポイント
- 心理的安全性が確保されている
- ハラスメントのないオープンな文化
- 柔軟な働き方の整備(リモートワーク、フレックスタイムなど)
◆ 実践方法
☑️ 定期的な職場環境調査の実施
☑️ オープンなコミュニケーション文化を推進
☑️ ウェルビーイング(健康・メンタルケア)の施策導入
4. アカウンタビリティ(Accountability)
◉ 概要
社員が自身の役割を理解し、責任を持って行動しているかを測る指標。
☑️ 重要なポイント
- 役割と責任が明確になっている
- 成果に対して適切な評価・フィードバックがある
- 問題発生時に責任の所在が明確
◆ 実践方法
☑️ ジョブディスクリプション(職務記述書)の明確化
☑️ 評価制度の透明化とフィードバック文化の構築
☑️ 責任を持って行動する文化を醸成(例:成果発表会の実施)
5. 調整と管理(Coordination and Control)
◉ 概要
組織全体の調整がスムーズに行われ、
適切なルールやプロセスが整備されているかを測る指標。
☑️ 重要なポイント
- 部署間の情報共有が円滑
- マネジメントシステムが整っている
- 社員が業務プロセスを理解し、活用できている
◆ 実践方法
☑️ タスク管理ツール(Asana, Trello, Notionなど)の導入
☑️ 部門間の連携強化(クロスファンクショナルMTGの実施)
☑️ シンプルで分かりやすい業務プロセスを整備
6. 能力開発(Capabilities)
◉ 概要
社員のスキルアップやキャリア開発のための教育・研修制度が整っているかを測る指標。
☑️ 重要なポイント
- スキルアップの機会があるか
- リスキリング・学習支援が充実しているか
- 社員の成長が評価され、昇進につながるか
◆ 実践方法
☑️ 社内トレーニング・E-learningプログラムを充実
☑️ メンター制度や1on1ミーティングの導入
☑️ キャリアパスの可視化(昇進基準の明確化)
7. モチベーション(Motivation)
◉ 概要
社員が意欲を持って仕事に取り組んでいるかを測る指標。
☑️ 重要なポイント
- 報酬・インセンティブが適切か
- 評価制度が透明で公平か
- 社員が会社のミッションに共感しているか
◆ 実践方法
☑️ 業績評価と報酬制度を明確化
☑️ 社内イベントや表彰制度を活用
☑️ 個人の成長機会を定期的に提供
8. イノベーションと学習(Innovation and Learning)
◉ 概要
組織が新しいアイデアや知識を取り入れ、成長し続けているかを測る指標。
☑️ 重要なポイント
- 社員が自由にアイデアを提案できる環境
- 変化に適応する学習文化がある
- 新しい取り組みへの挑戦を奨励
◆ 実践方法
☑️ 社内ハッカソン・アイデアコンペの開催
☑️ ベストプラクティス共有会の実施
☑️ 失敗を学びに変える文化を育てる
9. 外部志向(External Orientation)
◉ 概要
組織が外部との関係を築き、市場動向や競争環境を適切に把握しているかを測る指標。
☑️ 重要なポイント
- 顧客・市場の声を重視
- 競合分析を行い、適切な戦略をとる
- パートナーシップやネットワークを活用
◆ 実践方法
☑️ 顧客インタビューやアンケートを定期的に実施
☑️ 業界イベント・カンファレンスへの参加
☑️ 外部パートナーとの協業を積極化
まとめ
この9つの指標を組織文化に根付かせ、社員に理解・実践してもらうことが、
組織の健康を高める鍵となります。
★ビジョンを明確にし、リーダーが率先して発信する
★ 社員が納得できる仕組みを作り、参加型の変革を推進する
★ フィードバックと学習を組織に組み込み、持続的な成長を目指す
いかがでしたでしょうか。
どの項目を見ても、組織の課題や問題として挙げられている内容が指標となっているのではないでしょうか。
マッキンゼーの調査では、これらに取り組めている企業は業績を上げています。
上記の施策を行うには、土台となる環境が整っていないと、実行は難しいものとなります。
個人的に感じていることがります。それは、多くの企業は短期的な変化のための施策ばかりに力を入れて入るが、
長期的施策、組織の土台となる環境の整備が行われていないということです。
ここの土台の部分が構築されないまま、変化のための施策を導入してもうまくいかず、
さらに悪化させてしまうということは、よく耳にする話です。
私も飲食店勤務時代を振り返ると、それに気づかず、大きな失敗をしております。
組織の環境の作りという長期的施策を行いながら、短期的な変化を起こす施策を取り入れる。
合わせて、大事なのは共に働く仲間の個性や特性を把握しながら、
適材適所に仕事を任せるということです。
また【トップが継続して想いやビジョンを発信している】は欠かしてはならないことです。
次回はどのような環境づくりをしていくのかについて、お話を進めていきます。
最後までご覧いただきありがとうございます
参考資料
マッキンゼー・アンド・カンパニー(2024). 『Healthy Organizations Keep Winning, But the Rules Are Changing Fast』, 2025年2月21日アクセス. https://www.mckinsey.com/capabilities/people-and-organizational-performance/our-insights/healthy-organizations-keep-winning-but-the-rules-are-changing-fast
健康的な組織は勝ち続けるが、ルールは急速に変化している3へつづく