
前回は6つのシフトとHRツールTOiTOiを組み合わせることで、
試作がやりやすくなる可能性があるというお話を進めました。
ここでは企業は、変化を受け入れ、
新しいリーダーシップスタイルとマネジメント手法を採用する必要性についてお話を進めていきます。
企業が変化を受け入れる必要性とは
現代の企業環境は、急速な技術革新、
働き方の多様化、Z世代の台頭、
サステナビリティ意識の向上など、多くの変化に直面しています。
従来のリーダーシップやマネジメント手法では、こうした変化に適応できず、
競争力を維持することが難しくなっています。
McKinseyのレポートでは、
これらの変化に対応するために、
企業は新しいリーダーシップスタイルとマネジメント手法を採用する必要があるとしています。
ここでは、その具体的な内容と、導入した企業の事例について詳しく解説します。
1. 変化を受け入れるべき理由
企業が新しいリーダーシップとマネジメント手法を採用する背景には、
以下のような要因があります。
要因 | 具体的な内容 |
---|---|
技術革新の加速 | AI、データ分析、クラウドコンピューティングなどの活用が不可欠になり、従来の意思決定プロセスが追いつかない |
働き方の変化 | リモートワーク、ハイブリッドワークが普及し、従来の「管理型マネジメント」が通用しなくなる |
Z世代の台頭 | 「意味のある仕事」を重視するZ世代が増え、トップダウン型のリーダーシップではモチベーションが維持できない |
サステナビリティの重要性 | ESG(環境・社会・ガバナンス)経営が求められ、リーダーは社会的責任を果たすことが期待される |
グローバル競争の激化 | 変化に柔軟な企業が競争優位に立ち、硬直的な企業は市場で淘汰される |
これらの要因により、企業は**「コマンド&コントロール型のリーダーシップ」から、「支援型リーダーシップ」へと移行する必要がある**とされています。
2.新しいリーダーシップスタイル
リーダーシップは、企業の文化を形作る最も重要な要素の一つです。
現代の企業では、以下の3つのリーダーシップスタイルが求められています。
① 支援型リーダーシップ(Servant Leadership)
◉特徴:
- リーダーは「指示を出す存在」ではなく、「チームを支援し、成長を促す存在」
- 社員の声を積極的に聞き、共感を持ってマネジメントする
- 意思決定を分権化し、社員に権限を委譲する
◉ 実践企業:Google
- 「プロジェクト・アリストテレス」の研究で、優れたチームは「心理的安全性」が高いことを発見
- リーダーに「傾聴スキル」をトレーニングし、社員が自由に意見を言える環境を構築
- 上司の役割を「管理者」から「コーチ」に変え、個々の強みを伸ばす方針へ転換
② 共創型リーダーシップ(Collaborative Leadership)
◉ 特徴:
- 部門間の連携を促し、組織全体で知識やアイデアを共有
- トップダウンではなく、チーム主体で意思決定を行う
- 異なるバックグラウンドを持つ社員の意見を尊重し、多様性を活かす
◉ 実践企業:マイクロソフト
- サティア・ナデラCEOの就任後、社内の縦割り文化を撤廃し、オープンなコラボレーションを推進
- 社内ツール(Microsoft Teams)を活用し、リアルタイムで情報共有
- 部門間の壁を取り払うことで、クラウド事業(Azure)の成長を加速
③ データ駆動型リーダーシップ(Data-Driven Leadership)
◉特徴:
- 主観ではなく、データとファクトに基づいて意思決定
- AIやデータ分析ツールを活用し、未来のトレンドを予測
- 社員にもデータ活用のスキルを求める
◉ 実践企業:ネットフリックス
- 視聴データをリアルタイムで分析し、オリジナルコンテンツの制作を最適化
- データを基にパーソナライズされたレコメンド機能を導入
- 意思決定のプロセスを「直感」から「データ駆動型」へ転換
3.新しいマネジメント手法
リーダーシップだけでなく、
マネジメントの手法も変革が求められています。
新しいマネジメント手法 | 特徴 | 導入企業 |
---|---|---|
OKR(Objectives and Key Results) | – 目標と成果指標を明確化し、社員の動機を高める – 数値ではなく、「何を達成すべきか」にフォーカス | Google、メルカリ |
アジャイルマネジメント | – 大きな計画を立てるのではなく、短期間で試行錯誤を繰り返す – 部門横断のチームを作り、柔軟な意思決定を可能に | Spotify、Amazon |
心理的安全性の確保 | – 社員が意見を自由に言える環境を作る – フィードバックを重視し、上司の「聞く力」を強化 | Google、トヨタ |
データ駆動のマネジメント | – AI・BIツールを活用し、意思決定を最適化 – KPIを数値化し、成果の可視化を促進 | Netflix、Facebook |
4.変化を受け入れない企業のリスク
新しいリーダーシップやマネジメントを採用しない企業は、
以下のようなリスクを抱えることになります。
リスク要因 | 具体的な影響 |
---|---|
トップダウン型リーダーシップの継続 | ◆Z世代が定着せず、離職率が上昇 ◆意思決定のスピードが遅くなり、競争力を失う |
データを活用しない経営 | ◆ 市場の変化に対応できず、競争優位性を失う ◆ 顧客ニーズを的確に把握できず、売上が低下 |
働き方の多様性を受け入れない | ◆ リモートワーク非対応で、優秀な人材が他社へ流出 ◆ 社内のエンゲージメントが低下し、生産性が悪化 |
5.まとめ
◉ 企業は、「指示型のリーダーシップ」から「支援型のリーダーシップ」へ移行する必要がある
◉ データを活用したマネジメントを導入し、直感ではなくファクトベースの意思決定を行う
◉ 社員が主体的に動ける環境を作り、エンゲージメントを向上させることが、持続的な成功につながる
企業が変化を受け入れ、
新しいリーダーシップとマネジメントを導入することで、
競争力を維持し、長期的な成長を実現できます。
マネジメントの手法が変化しています。
勘や経験だけで判断するのではなく、
データを利用したビジネス展開が主流になりつつあります。
特に日本はいまだに勘と経験に頼った経営が続いています。
またリーダーシップスタイルもトップダウン型で、
Z世代をうまくマネジメントできないそんな声を日々耳にします。
働き方もワークライフバランスが主流となり、
自分の人生を充実させるために働くという流れに変わりつつあります。
変化に合わせていくこと。これが生き残る方法です。
流れに逆らうのではなく、流れに乗ること。
現在はこれがあり方です。
風の時代。この時代を受け入れていくには、目に見えないものにいかに注力するか、
変化を見ていると、これがとても大事なように感じます。
あなたはどう感じていますか。
最後までご覧いただきありがとうございます。
参考資料
マッキンゼー・アンド・カンパニー(2024). 『Healthy Organizations Keep Winning, But the Rules Are Changing Fast』, 2025年2月21日アクセス. https://www.mckinsey.com/capabilities/people-and-organizational-performance/our-insights/healthy-organizations-keep-winning-but-the-rules-are-changing-fast
健康的な組織は勝ち続けるが、ルールは急速に変化している9へつづく