前回の続きとなります。フィードバック文化醸成には、
フィードバックする側のと受ける側の自己理解と他者理解が必要であるとお話しました。
自己理解と他者理解を深めるためには、ビッグファイブ分析で自分を知り、相手との違いを理解することで、
パーソナライズなフィードバックが1on1で可能となり、効果的な1on1が可能になると考えています。
この考えが非常に的確であり、ビッグファイブ分析を活用することで、
自己理解と相手理解を深めたパーソナライズされたフィードバックが、
より効果的で実践的なものになると言えるのかの話を進めていきます。
以下では、マネジメントの視点からビッグファイブ分析を用いたフィードバックアプローチについて詳しく解説します。
1. ビッグファイブ分析とは?
ビッグファイブ分析は、人間の性格特性を5つの要素で評価する心理学モデルです。
以下がその要素です。
- 外向性(Extraversion)
- 特徴:社交的、エネルギッシュ、外向的。
- 低スコア:内向的で控えめ。
- 調和性(Agreeableness)
- 特徴:協力的、信頼性が高い、思いやりがある。
- 低スコア:競争的、自己主張が強い。
- 誠実性(Conscientiousness)
- 特徴:自己規律があり、計画的、責任感が強い。
- 低スコア:柔軟性が高いが、衝動的。
- 情緒安定性(Neuroticism, 逆スコアで安定性)
- 特徴:ストレス耐性が高く、冷静。
- 高スコア:不安傾向や情緒的に不安定。
- 開放性(Openness to Experience)
- 特徴:創造的で好奇心旺盛、新しいアイデアに柔軟。
- 低スコア:保守的、安定志向。
パーソナライズフィードバックへの応用
(1) 外向性(Extraversion)への対応
- 高スコアの人へのフィードバック:
- 特徴: 外向的で、対人関係を重視し、エネルギッシュに行動する傾向。
- 効果的アプローチ:
- グループディスカッションを活用し、公開の場で称賛する。
- 具体的なタスクや役割を強調してモチベーションを高める。
- 例:「チームの士気を高めてくれてありがとう。この調子でさらにリーダーシップを発揮してください。」
- 低スコアの人へのフィードバック:
- 特徴: 内向的で一人でじっくり取り組むタイプ。
- 効果的アプローチ:
- 1on1を活用し、プライベートな場でフィードバックを提供。
- 達成度や成長に焦点を当てて自信を強化。
- 例:「あなたの細部へのこだわりがこの成果に繋がりましたね。この部分をさらに強化しましょう。」
(2) 調和性(Agreeableness)への対応
- 高スコアの人へのフィードバック:
- 特徴: 思いやりがあり、協力的。
- 効果的アプローチ:
- チーム貢献を強調し、感謝を伝えるフィードバック。
- 対人関係に関するスキル強化をサポート。
- 例:「チームをまとめる姿勢が素晴らしいです。次はリーダーシップの発揮を意識してみてください。」
- 低スコアの人へのフィードバック:
- 特徴: 競争心が強く、成果重視。
- 効果的アプローチ:
- 明確な結果や達成指標を示し、成果を強調。
- 例:「あなたの結果重視の姿勢がプロジェクトの成果に繋がりました。この調子で次の目標にも挑戦しましょう。」
(3) 誠実性(Conscientiousness)への対応
- 高スコアの人へのフィードバック:
- 特徴: 計画的で責任感が強い。
- 効果的アプローチ:
- 具体的な計画や進捗を評価し、細部への配慮を称賛。
- 例:「あなたの綿密な計画と進捗管理が成功に繋がりました。次はプロジェクト管理スキルをさらに強化しましょう。」
- 低スコアの人へのフィードバック:
- 特徴: 柔軟性があり、即興対応に強い。
- 効果的アプローチ:
- 創造的なアプローチや柔軟な思考を強調。
- 例:「課題に対する柔軟な対応がチームの問題解決に貢献しました。次はこれをシステム化する方法を考えましょう。」
(4) 情緒安定性(Neuroticism)への対応
- 高スコア(安定)の人へのフィードバック:
- 冷静な対応力を称賛し、ストレス管理能力をさらに高める指示を出す。
- 低スコア(不安傾向)の人へのフィードバック:
- 不安要素を受け止めつつ、具体的な解決策を提示して安心感を与える。
(5) 開放性(Openness)への対応
- 高スコアの人へのフィードバック:
- 創造性や新しいアイデアへの挑戦を称賛し、柔軟な視点をさらに強化。
- 低スコアの人へのフィードバック:
- 実績重視の成果を示し、効率性や安定性への価値を強調。
ビッグファイブ分析 × パーソナライズフィードバックの強み
- 自己理解と相手理解を強化
ビッグファイブを活用することで、
相手の性格特性を踏まえたパーソナライズされたフィードバックが可能。 - フィードバック文化の促進
質問力と心理的安全性を組み合わせた1on1との連携で、
継続的で多方向なフィードバック文化を形成。 - 自律的な組織づくりへの応用
相手に気づきを与える質問と、
性格特性に基づくアプローチにより、
個々のモチベーションとエンゲージメントを高め、
自律的な行動を促進する。
いかがでしたでしょうか。
ビッグファイブ分析の理論と実践的なマネジメントアプローチを融合した非常に効果的なモデルです。
この手法は現代の組織運営や教育現場で強く推奨可能かつ、
パーソナライズアプローチもできるようになります。
今回のお話を応用できる対象としてオンボーディングでも利用できるものです。
メンターとメンティーとの関係は研修ではとても大切になってきます。
関係性はエンゲージメントにも影響し、
最悪は退職につながりかねないことになります。
いかがでしたでしょうか、一人ひとりに合わせたアプローチが必要です。
現実はなかなかうまくいかず、思ったような効果が出ないというのが実感ではないでしょうか。
経営者や経営層や管理職の悩み
「人の悩みは組織の悩み」
「社員のやる気が上がらない…
せっかく採用した優秀な人材が短期間で辞めてしまう…
フィードバックしても響かず、関係性はギクシャクしたまま…」
→ このような悩みを抱える経営者や管理職は少なくありません。
心理的安全性と1on1が鍵!
「心理的安全性の高い組織では、社員が失敗を恐れずに意見を出し合い、
チームワークが強化され、離職率が低下します。」
「その実現には、定期的で効果的な1on1ミーティングが欠かせません。
1on1は、信頼関係を築き、個々の課題を掘り下げ、改善点を明確にする場です。」
「分析で課題を可視化」
「しかし、どこに課題があるのかが見えないままでは改善策も実行できません。
そこで役立つのが“組織分析”です。
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参考資料
Hattie, J. & Timperley, H. (2007). 『The Power of Feedback』, Review of Educational Research, 77(1), pp. 81–112. 2024年12月19日アクセス. https://doi.org/10.3102/003465430298487