金融行動とビッグファイブ2

前回は調査された統計から、ビッグファイブと銀行口座の有無、
クレジットカードの所有、リボ払いとの関連を見ていきました。

ここではビッグファイブとの相関関係を見ていきます。

金融行動を予測する分析の結果

分析された結果にはTable1〜7までありましすが、2〜6はビッグファイブとの関連がないため、
Table7について見ていきます。

Table7は、ビッグファイブ性格特性(Big Five Personality Traits)だけを用いて、
金融行動を予測するProbit回帰分析の結果を示しています。

内容は、
従属変数(Dependent Variable)

Positive Revolving Balance Last Month(リボ払い利用):先月、クレジットカードのリボ払いを利用したか

Unbanked(無銀行者):銀行口座を持たない確率

Credit Card Adopter(クレジットカード所有者):クレジットカードを持つ確率

1. 表の構成

  • 列ごとに異なる金融行動の予測を示しています。
  • 行には、ビッグファイブの各性格特性(1から5のスコア)と、
    その金融行動との関係が記載されています。
  • 数値(係数)
    • 正の値(+):その性格特性が高いほど「金融行動をとる確率が高くなる」。
    • 負の値(−):その性格特性が高いほど「金融行動をとる確率が低くなる」。
  • 統計的有意性(p値)
    • *(p < 0.10):弱い有意性
    • (p < 0.05):中程度の有意性
    • (p < 0.01):強い有意性

2. 主な要因と影響

(1) 無銀行者(Unbanked)

  • 外向性(Extraversion)わずかに無銀行者になりやすい(p < 0.10)
    • 係数:0.008(p < 0.10)*
    • 社交的な人は銀行口座を開設しやすいと予想されるが、この結果は反対の傾向を示唆。
  • 誠実性(Conscientiousness)銀行口座を持つ確率が高い(p < 0.01)
    • 係数:−0.028*(p < 0.01)
    • 計画的な人ほど銀行口座を持ちやすい。
  • 神経質傾向(Neuroticism)無銀行者になりやすい(p < 0.05)
    • 係数:0.010(p < 0.05)
    • 不安やストレスが多い人は、銀行口座を持たない可能性が高い。
  • 開放性(Openness)銀行口座を持つ確率が高い(p < 0.10)
    • 係数:−0.009*(p < 0.10)
    • 知的好奇心の強い人は銀行口座を持つ傾向がある。

◎ まとめ

  • 誠実性が高い人ほど銀行口座を持つ確率が高い。
  • 神経質傾向が高い人は無銀行者になりやすい。
  • 外向性が高いと、無銀行者になる可能性がわずかに高い。
  • 開放性が高いと銀行口座を持ちやすい。

(2) クレジットカード所有者(Credit Card Adopter)

  • 協調性(Agreeableness)クレジットカードを持たない確率が高い(p < 0.01)
    • 係数:−0.041*(p < 0.01)
    • 協調性の高い人は、クレジットカードを持たない可能性がある。
  • 誠実性(Conscientiousness)クレジットカードを持つ確率が高い(p < 0.01)
    • 係数:0.059*(p < 0.01)
    • 計画的な人はクレジットカードを持つ傾向がある。
  • 神経質傾向(Neuroticism)クレジットカードを持つ確率が低い(p < 0.01)
    • 係数:−0.048*(p < 0.01)
    • 不安やストレスが多い人は、クレジットカードを持たない可能性がある。
  • 開放性(Openness)クレジットカードを持つ確率が高い(p < 0.10)
    • 係数:0.020(p < 0.10)*
    • 知的好奇心が高い人はクレジットカードを持つ傾向がある。

◎ まとめ

  • 誠実性が高い人ほどクレジットカードを持つ確率が高い。
  • 協調性が高い人はクレジットカードを持たない傾向がある。
  • 神経質傾向が高い人はクレジットカードを持たない可能性がある。
  • 開放性が高い人はクレジットカードを持つ傾向がある。

(3) クレジットカードのリボ払い利用(Positive Revolving Balance Last Month)

  • 協調性(Agreeableness)リボ払いを利用する確率が高い(p < 0.01)
    • 係数:0.078*(p < 0.01)
    • 他人に合わせやすい人はリボ払いを利用する可能性が高い。
  • 誠実性(Conscientiousness)リボ払いを利用する確率が低い(p < 0.01)
    • 係数:−0.060*(p < 0.01)
    • 計画的な人はリボ払いを避ける傾向がある。
  • 神経質傾向(Neuroticism)リボ払いを利用する確率が高い(p < 0.01)
    • 係数:0.051*(p < 0.01)
    • 不安やストレスが多い人は、リボ払いを利用しやすい。
  • 開放性(Openness)リボ払いを利用する確率が高い(p < 0.10)
    • 係数:0.016(有意ではないが正の相関)

◎ まとめ

  • 誠実性が高い人はリボ払いを利用しない。
  • 協調性が高い人はリボ払いを利用しやすい。
  • 神経質傾向が高い人はリボ払いを利用しやすい。
  • 開放性が高い人も、リボ払いを利用しやすい傾向がある。

3. まとめ

金融行動相関の強いビッグファイブ特性関係性
銀行口座を持たない(Unbanked)誠実性(−)、神経質傾向(+)計画的な人は銀行口座を持ち、不安が多い人は持たない
クレジットカードを持つ(Credit Card Adopter)誠実性(+)、協調性(−)、神経質傾向(−)計画的な人はカードを持ち、協調的・不安が多い人は持たない
リボ払いを利用する(Revolver)誠実性(−)、協調性(+)、神経質傾向(+)計画的な人はリボ払いを避け、協調性・不安が高い人は利用しやすい

この結果から、
金融行動はビッグファイブの性格特性によって大きく影響を受けることがわかる。

金融行動にはビッグファイ分析との関連があるという結果となっています。
金融関連の仕事をしている方にはとても参考になる結果です。

また、金融教育の施策を考える際のヒントにもなります。
先の記事でも書きましたが、日本でも金融教育をしていますが、
パーソナライズな教育はできていないのではないでしょうか。

日本ではお金の話をするのはタブーとされてきた感があります。
私も子供の頃お金の話をするなと怒られた経験があります。
今思うと好奇心を奪われたような気もしています。
何でお金の話をしたら怒られたのか。
お金に対しての知識があれば、ビジネスにも活かせていたのになあと。

興味のあることを生かしてくれる環境であったらなあと感じています。
環境ってとっても大切です。
私は振り返って考えると、日本はいいところがあるけど、
自分の好奇心をおさえつけてきたなあと。
金融の知識を伝えることによって、新たな選択肢が生まれる可能性があります。

金融知識を持って正しい行動、自分がよりよく生きる方法を知ることができれば、
可能性をもっと広げていけます。
今回の分析からいろいろな考えができるのではないでしょうか。

あなたはどのように感じますか。

最後までご覧いただきありがとうございます。

参考資料

サリバン, R. & ヒッチェンコ, M.(2023). 『性格特性と金融成果(Personality Traits and Financial Outcomes)』, ボストン連邦準備銀行, 2024年3月19日アクセス.
https://www.bostonfed.org/publications/research-department-working-paper/2023/personality-traits-and-financial-outcomes.aspx