どうなる社会保険適用拡大

2024年10月からの被用者保険の適用拡大では、
短時間労働者も社会保険に加入する条件が緩和され、
より多くのパートやアルバイトが対象となります。

具体的には、
従業員数50人以上の企業に勤務する短時間労働者が、
以下の基準を満たす場合に、社会保険の適用対象となります。

適用の基準

労働時間

週の労働時間が20時間以上

雇用期間

見込みで2か月以上の雇用が予定されていること

月額賃金

月額賃金が88,000円以上

年齢

60歳未満であること(60歳以上の方は別のルールが適用されることがある)

学生ではないこと

短時間労働者でも、
一定の労働条件を満たせば、
健康保険や厚生年金に加入することが義務化され、
社会保障の対象が拡大します。

この変更は、非正規雇用者の老後や
健康に関する保障を強化するための施策です。

適用拡大によるベネフィットとアンベネフィット

非正規雇用、
パート、バイトで働く人たちにとっての
ベネフィット(利点)とアンベネフィット(不利点)
には以下のような点があります。

ベネフィット(利点)

柔軟な働き方

正社員に比べて勤務時間やシフトの
調整が比較的柔軟で、
家庭や学業との両立がしやすいです。

特に育児や介護と両立しやすい点が魅力です。

短期的な雇用機会

非正規雇用では短期間の契約が多く、
転職や他の仕事へのチャレンジがしやすい。

また、特定のスキルを持つ人には
専門性を活かせる短期間のプロジェクトなどもあります。

社会保険加入の可能性

2024年の改正により、
社会保険適用が広がり、
一定の条件を満たすパートや
アルバイトでも健康保険や厚生年金に
加入することができます。

これにより、老後の年金や医療費の負担が軽減されます。

労働市場への参入ハードルが低い

正社員のような厳しい採用条件が少ないため、
職歴や学歴にこだわらずに働くことが
できるチャンスが多いです。

アンベネフィット(不利点)

雇用の不安定さ

非正規雇用は契約期間が短いため、
常に雇用の安定性が低いです。

契約更新が保証されていないため、
雇用が不安定になりやすい点が大きなデメリットです。

昇給・昇進の機会が少ない

正社員に比べてキャリアの成長機会が限られており、
昇給や昇進のチャンスが少ない場合が多いです。

その結果、長期的な収入の向上が難しいことがあります。

福利厚生の差

多くの非正規労働者は正社員と比べて
福利厚生(ボーナス、退職金、研修機会など)が少ない、
またはない場合があります。これにより、
労働者としての待遇に格差が生じやすいです。

収入の不安定さ

パートやアルバイトは
働いた時間に応じた賃金制のため、
シフトの削減や休業があると収入が不安定になります。

特に景気変動や企業の業績悪化の影響を受けやすいです。

キャリア形成の難しさ

短期間の仕事が多く、
専門的なスキルを身につける機会が限られるため、
長期的なキャリア形成が難しくなる可能性があります。

どうなる?

パートやアルバイト、
非正規雇用は柔軟な働き方が
できるという利点がありますが、
安定した収入や長期的な
キャリア形成が難しいという不利点も存在します。

特に、2024年の社会保険適用拡大は、
短時間労働者にとって大きなベネフィットとなる一方で、
雇用の不安定さや福利厚生の違いは引き続き課題となります。

企業にとってはどうなる

非正規雇用(パートやアルバイト)を
活用する際のベネフィットとアンベネフィットには
次のようなものがあります。

特に企業規模が小さいほど、
これらの影響が大きく感じられることが多いです。

ベネフィット(利点)

コスト削減

非正規雇用では、
正社員と比べて賃金や福利厚生のコストを
抑えることができるため、
企業の人件費を大幅に削減できる点が魅力です。

特に小規模企業では、
コスト管理がより重要になるため、
この点は大きなメリットです。

柔軟な人員配置

需要が変動する業種では、
繁忙期と閑散期に応じて非正規労働者を
柔軟に配置することで、業務の効率化が可能です。

特に小規模企業では、
急な需要変化に対応するために
柔軟な人材配置が必要な場面が多く、

非正規雇用はそれに対応しやすいです。

特定の業務に特化した人材活用

非正規労働者は、
特定のスキルや業務に集中して
働くことができるため、
効率よく短期間で仕事をこなすことができます。

これにより、必要な業務だけを
効率的に処理することが可能です。

雇用調整がしやすい

業績や経済状況に応じて、
契約更新を行わないことで簡単に
人員調整が可能です。

小規模企業では、
急な業績悪化が大きな影響を与えることがあり、
非正規雇用者を活用することで迅速に対応できます。

アンベネフィット(不利点)

スキル・知識の蓄積不足

非正規雇用者は、
短期間での離職が多いため、
企業にとって重要なスキルや業務知識が
蓄積されにくいです。

特に小規模企業では、
専門性やノウハウの蓄積が重要であり、
非正規雇用者の高い離職率が影響を与えやすいです。

モチベーションの低下

非正規労働者は、
昇給や昇進の機会が少ないため、
モチベーションが下がりやすいです。

特に小規模企業では、
チーム全体の士気が重要であり、
一部の非正規雇用者のモチベーション低下が
全体に影響する可能性があります。

コミットメントの低さ

非正規労働者は長期的な
雇用を見据えていない場合が多く、
企業に対する忠誠心やコミットメントが
低くなることがあります。

これにより、企業文化の醸成や
長期的な目標達成が難しくなることがあります。

雇用調整コストの発生

非正規雇用者の契約更新を繰り返す際や、
新たな非正規労働者を採用するたびに、
教育やトレーニングにコストと時間がかかります。

小規模企業では、これが大きな負担となる場合があります。

社会保険負担の増加

2024年の法改正により、
一定の条件を満たすパートや
アルバイトにも社会保険が適用されるため、
企業側の保険料負担が増加します。

特に小規模企業では、
人件費に対する負担が増すことが予想されます。

企業規模の影響

企業規模が小さいほど、
非正規雇用の利点と欠点がより強く影響することが一般的です。

小規模企業はリソースが限られているため、
非正規雇用の柔軟性やコスト削減効果を強く感じる一方で、
スキルの蓄積やモチベーション維持の問題が
顕著に現れやすくなります。

特に社会保険の負担増加は、
小規模企業にとって大きなコストとなり、
事業運営に影響を与える可能性があります。

どうなる社会保険適用拡大2へ続く