最後に人口減少の問題と絡めるとどうなるかを考えていきます。
人口減少と社会保険適用拡大
今回の社会保険適用拡大が
経済を活性化させるかについては、
賛否が分かれるところがあります。
特に以下の点で懸念されると考えます。
経済活性化の観点からの影響
1短期的な消費力の抑制:
106万円の壁を意識して労働時間を
抑える人が増えることで、
パートやアルバイトの収入が制限され、
その結果として、消費活動に対する影響が出る
可能性があります。
消費が減少すれば、
地域経済や全体の経済成長に
悪影響を及ぼす可能性があります。
2労働力不足の悪化:
人口減少が進む中で、
特に非正規労働者の労働力が
重要な存在となっていますが、
今回の拡大により、
労働者が働く時間を抑えようとする
傾向が強まる可能性があり、
労働力不足が一層深刻化する恐れがあります。
結果として、企業は人手不足に対応しきれず、
生産性の低下や業績の悪化に繋がる可能性も考えられます。
3コスト負担の増加による企業の成長鈍化:
社会保険料負担の増加は、
中小企業にとって大きな負担です。
特に、企業規模が小さいほど、
経営資源が限られているため、
追加のコストを負担しつつ、
従業員の福利厚生を充実させるのは
難しくなる可能性があります。
これにより、企業の成長が鈍化し、
結果として経済の活性化には繋がりにくい
可能性があります。
働き方の柔軟性に対する影響
労働時間の抑制による柔軟性の低下:
社会保険に加入したくない、
または壁を超えないように
働き方を制限する人が増えることで、
労働者が本来持っている柔軟性が制限される
可能性があります。
たとえば、短期的なニーズや希望に
応じた働き方が難しくなり、
特定の収入範囲内でしか
働けないという制約が強まることが懸念されます。
働くインセンティブの減少:
特に家庭の中で扶養されている人々にとって、
103万円や106万円の壁を超えた際の
保険料負担や税負担がインセンティブを低下させ、
柔軟な働き方の選択肢を狭める可能性があります。
これにより、労働市場への参加意欲が減少し、
労働力供給がさらに不足する可能性があります。
人口減少との関連
高齢化と労働力不足:
人口減少に伴う労働力の減少が進む中で、
社会保険の適用拡大が労働力不足を
一層悪化させる可能性があります。
労働力不足に直面する企業は、
非正規労働者の柔軟な労働力を活用したいと
考える一方で、社会保険料の負担増があるため、
結果的に雇用調整や働き方の制限が必要になる可能性が高まります。
予測される未来
短期的には、人口減少に伴う労働力不足や
柔軟な働き方を制限する要因となる可能性があります。
今回の社会保険適用拡大は、
長期的な保障を充実させる面ではメリットがありますが、
そのため、経済の活性化には直結しにくく、
むしろ働き方の柔軟性が低下し、
企業や労働者双方にとって新たな課題をもたらすかもしれません。