「静かな退職」とは

アメリカを中心に2021年ごろから話題になった労働現象で、
従業員が最低限の業務にのみ取り組み、
それ以上の努力や責任を負うことを拒否する行動を指します。

これは退職するわけではなく、
過剰な努力や時間外労働を避け、
与えられた範囲内で働くという働き方。

静かな退職 その背景

背景としては、パンデミック後の労働環境の変化や、
過度な労働に対する反発、
労働者の精神的・肉体的な健康の重視、
そしてワークライフバランスの向上を求める声の高まりが挙げられます。

また、
過労や「バーンアウト」への懸念、
組織や上司への信頼感の欠如も関与しています。

多くの労働者が「静かなる退職」を選ぶ理由は、
追加の仕事に対する評価や報酬が不十分であると感じたり、
キャリアの見通しが不透明であったりする場合です。

また、
仕事の意味ややりがいを見失っていると感じる人も多く、
職場での期待と実際の報酬の間にギャップが生じることが、
行動の引き金となることがあります。

これに対して企業側は、
従業員のエンゲージメントを高める施策を強化し、
業務内容や待遇の見直しを進める動きも見られています。

世代間での違い

1. ミレニアル世代(1980年~1995年生まれ)と
Z世代(1996年~2010年生まれ)

「静かな退職」の現象に最も関与している世代と言われています。
特にZ世代においては、
ワークライフバランスや仕事の意味・やりがいを重視する価値観が強く、
従来の「一生懸命働く」文化に対して距離を置く傾向があります。

Z世代の多くが、
無理にキャリアを追求するよりも、
自分のプライベートを優先する傾向が強くなっているため、
必要最低限の労働にとどまる行動を取る人が多いとされています。

ガロップの調査によると、
ミレニアル世代とZ世代の約50%が、
仕事に対するエンゲージメントが低いか、
消極的な働き方に移行しているとされています。

2. X世代(1965年~1980年生まれ)

X世代は、
比較的仕事に対する責任感が強く、
長時間労働にも慣れている世代です。

特に企業の中核層を形成しているため、
「静かなる退職」に対する意識は比較的低いかもしれません。

しかし、
この世代でもバーンアウトや過労による
モチベーションの低下が報告されており、
特にキャリアの中後期に入ると、
やりがいや昇進の限界を感じ、
最低限の業務に従事する人が増える傾向があります。

3. ベビーブーマー世代(1946年~1964年生まれ)

ベビーブーマー世代は、
従来の「仕事中心の生活」を重視する傾向が強いです。

仕事に対する忠誠心や一貫した努力が
評価される文化で育ったため、
静かなる退職を選ぶ人は比較的少ない傾向にあります。

しかし、
リタイアに近づく年齢層のため、
退職が視野に入っていることもあり、
モチベーションが下がるケースもあります。

4. 世代間での違いの理由

価値観の変化

Z世代やミレニアル世代は、
仕事以外のプライベートの時間や自己実現をより重要視しています。

これに対し、
ベビーブーマー世代は仕事を中心とした価値観を持つ傾向があり、
この価値観の違いが「静かなる退職」の割合に影響を与えています。

経済状況の変化

ミレニアル世代やZ世代は、
リーマンショックや新型コロナウイルスのパンデミックなど、
不安定な経済状況を経験しており、
仕事に対して冷静な視点を持つことが多いです。

これにより、
従来の世代に比べて、
会社に対する期待や忠誠心が低くなる傾向があります。

「静かな退職」を防ぐには

「静かなる退職」に関しては、
特にミレニアル世代とZ世代でその割合が高く、
価値観や経済状況の違いから、
世代間での違いが生じていることがわかります。

一方で、
年齢に関係なく、
バーンアウトや過労による影響を受けることで、
全世代において一定の割合で「静かなる退職」が発生する可能性があると言えます。

受けてきた教育、その他の環境も大きく影響していると感じます。
あなたはどのように感じましたか。