前回はクレッチマーの気質類型論のお話をしていきました。
ここではLBの3分類とクレッチーマー気質類型論の3気質についてお話を進めていきます。
LBの3分類と気質類型論の3気質
クレッチマーの気質類型論に基づき、
フラクタル性を用いて各気質(循環性気質、分裂性気質、粘着性気質)を再定義する場合、
それぞれの気質の特徴を「自己相似的なパターン」として捉え、
異なるスケールや文脈において一貫性を持ちながら変化する性質として記述します。
この視点に基づく定義は以下の通りです。
1. 循環性気質(Cyclothymic)
フラクタル性による定義
- 循環性気質は、調和と変動を軸とする自己相似的なサイクルを持つ性質と定義できます。
- 気分や行動の変動(例:高揚から抑うつへの移行)が、
短期的(1日の中の感情の変化)から長期的(人生全般の波)まで一貫して現れる。
特徴
- 調和性のフラクタル性:
- 個人は社会的場面や関係性の中で、他者との調和を図る傾向があり、
その行動パターンは小さなグループから大規模な社会的ネットワークまで繰り返される。
- 個人は社会的場面や関係性の中で、他者との調和を図る傾向があり、
- 変動性のフラクタル性:
- 感情や行動のリズムが異なる文脈(例:家庭、職場、趣味の活動)で共通して見られる。
例
- 日常的には、特定のイベントで高揚し、
その後に疲労感が現れる傾向がある。
このサイクルは、月間や年間単位でも観察され、
人生全体の大きな変動にもつながる。
2. 分裂性気質(Schizothymic)
フラクタル性による定義
- 分裂性気質は、内向性と自閉性が自己相似的に表れる性質と定義できます。
- 自己と外界との距離を維持する特徴が、
瞬間的な行動(例:会話中の沈黙)から長期的な生活態度(例:孤立的なライフスタイル)に至るまで一貫して表れる。
特徴
- 自己優位性のフラクタル性:
- 他者や社会との関係性よりも、自身の内的世界を重視する傾向が、
具体的な対人関係から抽象的な価値観や思想の選択に至るまで見られる。
- 他者や社会との関係性よりも、自身の内的世界を重視する傾向が、
- 感受性のフラクタル性:
- 敏感性(例:微細な刺激に反応)と鈍感性(例:重大な事象への無関心)が共存し、
これが異なるスケールで観察される。
- 敏感性(例:微細な刺激に反応)と鈍感性(例:重大な事象への無関心)が共存し、
例
- 小さな日常場面では、些細な批判に強く反応する一方、大きな問題には鈍感である。
- 長期的には、他者との距離を保ちつつ、自己完結的な活動(例:独自の趣味やプロジェクト)に集中する。
3. 粘着性気質(Collothymic)
フラクタル性による定義
- 粘着性気質は、持続性と徹底性が自己相似的に現れる性質と定義できます。
- 目標に向かって粘り強く行動する特性が、
短期的なタスク(例:日々のスケジュール管理)から長期的な人生目標(例:キャリアの達成)まで一貫して見られる。
特徴
- 粘り強さのフラクタル性:
- 物事を途中で放棄せず、状況や目標の規模に関わらず粘り強く取り組む。
- 一貫性のフラクタル性:
- 同じ価値観や行動基準が、異なる状況や期間にわたって繰り返し現れる。
例
- 日常では、特定のタスク(例:問題解決や研究)に集中し、それを最後までやり遂げる姿勢が顕著。
- 長期的には、特定のテーマや目標(例:社会貢献や専門スキルの習得)に一貫して取り組む。
フラクタル性による統合的視点
これらの気質はフラクタル的な自己相似性を持つため、以下のような応用が可能です:
- パーソナリティの多層的理解:
- 短期的な行動や反応から、個人全体の性格や人生観を推測。
- 気質の混合や移行の説明:
- 気質間の相互作用や境界型(例:循環性と粘着性の混合型)をフラクタルパターンとして説明。
- 環境との相互作用:
- 各気質が環境とどのように適応・相互作用するかを、パターンとして分析。
フラクタル性を用いた定義は、気質が単なる静的な特性ではなく、
動的で多層的なプロセスであることを強調しています。
1. 循環性気質
特徴の整理
- 他者や環境との調和を重視する。
- 感情や気分の変動があり、人間関係や環境に敏感。
- 共感力が高く、社会的なつながりを大切にする。
ロジック・ブレインの「理性タイプ(黄色)」
- 循環性気質の調和志向や他者との関係性を大切にする姿勢は、
「ルールと調和を重んじる安定志向型」と一致します。 - 社会的な価値観や道徳的な正しさを基準に行動する傾向が強いことから、
理性タイプの特徴と重なる部分が多いです。
適合ポイント
- 安全性や安定性の重視:循環性気質は、他者や環境と調和することで安心感や安定を求めます。
- チームの調和:循環性気質は、組織やグループ内で他者と協調する能力が高い。
2. 分裂性気質
特徴の整理
- 内向的で独立性が高い。
- 自分の内的世界を重視し、外界との距離を保つ。
- 感情に左右されにくく、冷静かつ論理的。
ロジック・ブレインの「比較タイプ(青色)」
- 分裂性気質の自己中心的な思考や、自分のペースで物事を進める特性は、**「自分にとって必要かどうかを冷静に考える実行型」**の比較タイプと一致します。
- 感情的ではなく、効率性や必要性を重視する慎重な判断がこのタイプの特徴と一致します。
適合ポイント
- 冷静な判断力:分裂性気質は、物事を感情ではなく論理的に判断する傾向が強い。
- 自分のペースを維持:分裂性気質は他者の影響を受けにくく、独自のペースで進める力を持っています。
3. 粘着性気質
特徴の整理
- 粘り強く目標に向かって行動する。
- 徹底性や持続力があり、計画的に行動する。
- 他者の意見や環境からの影響を受けにくい。
ロジック・ブレインの「感性タイプ(赤色)」
- 粘着性気質の持続的な集中力や目標達成への情熱は、
感性タイプの「新しいアイデアと挑戦を楽しむ創造型」に通じる部分があります。 - ただし、粘着性気質は慎重さや安定感も持ち合わせているため、
完全に感性タイプに一致するわけではありません。
適合ポイント
- 創造的な取り組み:粘着性気質の人は、特定のテーマに没頭し、
新しいアイデアを生み出すことがあります。 - 行動力:一度目標を決めると、実行に移す力が非常に強い。
気質とロジック・ブレインの対応まとめ
気質 | ロジック・ブレインの分類 | 特徴 |
---|---|---|
循環性気質 | 理性タイプ(黄色) | 調和や他者とのつながりを重視し、安全性や安定を求める。 |
分裂性気質 | 比較タイプ(青色) | 自分のペースで行動し、効率や必要性を重視。独立性が強い。 |
粘着性気質 | 感性タイプ(赤色) | 持続的に目標を追求し、創造力や情熱を発揮。ただし慎重さもあるため感性タイプとの重なりが部分的。 |
結論
- 循環性気質は、他者や環境との調和を重視する特性から「理性タイプ」に最も適合します。
- 分裂性気質は、冷静で慎重な行動を取る特性から「比較タイプ」に対応します。
- 粘着性気質は、持続力や集中力の強さが目立つものの、創造性や情熱を含むため、
主に「感性タイプ」に近いものの要素が混ざります。
いかがでしたでしょうか、
ロジック・ブレインの3分類とクレッチマーの3気質につい程お話ししました。
3分類の研修をすると、参加者の方は必ず盛り上がります。
自分の個性が見えるからです。
最後までご覧いただきありがとうございます。
参考資料
日本パーソナリティ心理学会 (2003). 『3気質類型・複合構造モデルとパーソナリティのフラクタル性』, 2025年1月26日アクセス. https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpjspp/2/1/2_KJ00001287004/_article/-char/ja/
日本パーソナリティ心理学会 (2003). 『TTIQ-性格検査の標準化. 3気質類型・複合構造モデルと5性格特性次元にもとづく質問紙法性格検査の作成』, 2025年1月26日アクセス. https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpjspp/2/1/2_KJ00001287004/_article/-char/ja/
3分類(クレッチマーとLB)とビッグファイブ分析3へつづく