若手のビッグファイブと人間関係の問題4

前回は若手(18歳〜22歳)に対しての施策についてお話を進めました。

ここでは若手(23歳〜26歳)への施策について解説していきます。

若年成人期(23〜26歳)への対応施策

性別×対人関係円環モデル×心理学×マネジメントの視点から


1. 若年成人期(23〜26歳)の特性と課題


(1) 心理学的特性(ビッグファイブ)

23〜26歳の若手社員は、仕事の実践経験を積みながらも、
キャリアや職場の適応において試行錯誤する時期 です。
ビッグファイブ(Big Five Personality Traits)との関連を整理すると、
以下のような傾向が見られます。

ビッグファイブ特性23〜26歳の傾向主な課題
神経症傾向(Neuroticism)やや高め(ストレス耐性は向上するが、不安を抱えやすい)責任が増し、仕事のプレッシャーを感じやすい
外向性(Extraversion)上昇(職場や交友関係での活動が増加)チームワークが求められるが、対人関係の悩みも増加
開放性(Openness)やや低下(現実的な価値観が強まる)新しい挑戦への意欲が減少、安定志向へシフト
協調性(Agreeableness)向上(職場でのチームワークの重要性を理解)周囲に気を遣いすぎて、自己主張が難しくなる
良心性(Conscientiousness)大幅に向上(計画性、責任感が強くなる)完璧主義になりやすく、仕事量を抱え込みがち

(2) 性別による違い(対人関係円環モデル)

要素男性の傾向女性の傾向
対人関係のスタイル「支配的-敵対的」「支配的-友好的」 に偏りやすい「友好的-服従的」「服従的-敵対的」 に偏りやすい
職場での行動リーダーシップを発揮しようとするが、協調性に欠けるチームワークを重視しすぎて、自己主張しにくい
上司や同僚との関係意思決定に関わりたがるが、権限が少ないことに不満調整役に回ることが多く、負担が増える
メンタルヘルスの課題プレッシャーを感じやすく、ストレスを抱え込みやすい人間関係や評価に敏感で、心理的ストレスが増える

2. 若年成人期(23〜26歳)への有効な施策


(1) キャリアの明確化と「仕事のやりがい」の提供

  • キャリアマップの提示(昇進・スキルアップの道筋を明確化)
  • ジョブローテーションの導入(多様な業務経験を積ませる)
  • パーパス経営の浸透(仕事の意義・価値を伝える)

期待効果:キャリア不安を軽減し、成長実感を持たせる


(2) ミドルマネジメント層との連携強化

  • チームリーダー経験の提供(小規模プロジェクトを担当)
  • リーダー研修の導入(意思決定・コーチングスキルを習得)
  • ミドルマネージャーとの1on1(組織内での役割を明確化)

期待効果:意思決定スキル向上・リーダーシップ経験を積む機会を提供


(3) メンタルヘルスとワークライフバランスの確保

  • ストレスマネジメント研修(メンタルケアの方法を学ぶ)
  • リモートワークと出社のハイブリッド化(柔軟な働き方の促進)
  • メンタリング制度(仕事や人間関係の悩みを相談できる環境を整備)

期待効果:メンタル不調による離職防止・働きやすい職場環境を実現


(4) 性別×対人関係に応じた対応

(1) 男性向け施策

課題施策
リーダーシップを発揮したいが、調整力が不足リーダーシップ研修+チームリーダー経験の提供
意思決定に関わりたがるが、権限が少ないことに不満意思決定のロールプレイ研修
ストレスを抱え込みやすいストレスマネジメントとコーチングスキルの習得

(2) 女性向け施策

課題施策
職場での調整役に回ることが多く、負担が増えるタスクシェア制度の導入
評価に敏感で、自己主張がしにくいアサーション研修(適切な自己表現の習得)
人間関係のストレスが大きいメンタリング制度+心理的安全性の確保

3. まとめ

施策カテゴリ男性向け(支配傾向強め)女性向け(友好・調整傾向強め)
キャリアの明確化キャリアマップ+ジョブローテーション昇進ルートの明確化+スキルアップ研修
リーダーシップリーダー研修+チームリーダー経験の提供アサーション研修+タスクシェア制度
メンタルヘルスストレスマネジメント研修+コーチングスキルの習得メンタリング制度+心理的安全性の確保

心理的安全性 → ストレス低減・成長促進
キャリアの明確化 → 離職率の低下・モチベーション向上
リーダーシップ経験の提供 → 将来のマネジメント層の育成
柔軟な働き方 → ワークライフバランスの確保

最終結論

若年成人期(23〜26歳)は、
職場適応とキャリア形成の分岐点 であり、
適切なサポートが必要な時期である。
企業が個別の特性や性別に応じた対策を講じることで、
離職防止・人材育成・組織全体の成長 を促進できる。

この世代はワークライフバランスやキャリアデザインが重要な位置を占めていると考えられます。
人財の特性や個性に合わせたデータにより、パーソナライズな施策を打つことです。

人財のデータを知ることで、再現性の高い育成やキャリアデザインが可能となり、
人財に合わせた働き方が見えてきます。

あなたの組織やチームの人財はトキメキながら仕事に向き合っていますか。
最後までご覧いただきありがとうございます。

参考資料

Akyunus, M., Gençöz, T., & Aka, B. T. (2019). 『若年成人期における基本的な性格特性と対人関係の問題における年齢と性別の違い』, 2025年1月31日アクセス. https://doi.org/10.1007/s12144-019-0165-z

若手のビッグファイブと人間関係の問題5へつづく