会社員と、副業をしながら会社員を続ける場合の節税

結論として、副業をすることで一定の節税の余地が生まれることが多いですが、
ケースバイケースです。
特に、副業の形態(個人事業主or法人)によっても大きく異なります。

以下、会社員のみと副業ありのケースを比較しながら、節税のポイントを詳しく解説します。

節税のポイント

会社員のみの場合

会社員として給与収入のみを得ている場合、税務上の控除はほぼ固定されています。

  • 給与所得控除(収入に応じて決まる)
  • 基礎控除(48万円)
  • 社会保険料控除(給与から天引き)
  • 生命保険料控除、扶養控除など(該当する場合のみ)

会社員の節税の限界

  1. 経費の計上ができない
    • 会社員は給与所得控除以外に仕事上の経費を引けない(テレワーク手当など一部例外あり)。
  2. 税率が累進課税
    • 給与が増えると税率も上がり、手取りの増加が鈍化する。
  3. ふるさと納税やiDeCo、NISAくらいしか節税策がない
    • 会社員ができる節税策は、控除が適用される金融商品や制度の活用に限定される。

副業をする会社員(個人事業主として開業)

会社員のまま副業(個人事業主)をすると、節税の選択肢が広がるのが大きなメリットです。

副業がある場合の主な節税ポイント

  1. 経費を計上できる
    • 副業収入に関連する費用を「事業経費」として計上できる。
    • 例: パソコン、通信費、交通費、書籍代、会議費、広告費など。
    • 家で仕事をするなら「家賃の一部」「光熱費の一部」も按分して経費にできる。
  2. 青色申告特別控除(最大55万円 or 65万円)
    • 開業届+青色申告承認申請書を提出すれば、確定申告時に控除が受けられる。
    • 帳簿をしっかりつけると最大65万円の控除が得られる。
  3. 赤字を給与と相殺できる(損益通算)
    • 副業が赤字(例: 初期投資がかかる、売上が少ない)なら、給与所得と合算できる。
    • 例えば給与500万円、副業赤字50万円なら、課税所得は450万円に下がる。
  4. 節税の選択肢が増える
    • 小規模企業共済(掛金は全額所得控除)
    • iDeCoやふるさと納税との組み合わせでさらに税負担を軽減できる。

副業を個人事業で行うデメリット

  • 住民税で会社にバレる可能性
    • 住民税の徴収方法を「普通徴収」にしないと、会社に副業がバレる可能性がある。
  • 社会保険料は節約できない
    • 副業収入が増えても社会保険料の計算には影響しない(本業の給与に基づくため)。
  • 確定申告の手間がかかる
    • 青色申告の帳簿付けや決算書の作成が必要。

副業で法人化する場合

副業が軌道に乗ったら**法人化(合同会社や株式会社)**することで、更なる節税が可能になります。

法人化の節税メリット

  1. 法人税率は一律(15% or 23.2%)
    • 個人事業主は所得税が**累進課税(最大55%)**なのに対し、法人税は所得が増えても税率が一定。
    • 例えば、個人で年収800万円の副業収入があると税率は33%だが、法人なら15~23.2%程度。
  2. 役員報酬で給与所得控除を活用
    • 会社員の給与とは別に、自分の法人から役員報酬を支給すると、給与所得控除が使える。
  3. 経費の幅がさらに広がる
    • 生命保険を法人契約にすることで、資産形成+節税が可能。
    • 家族を役員にして給与を払うことで、所得分散もできる。
  4. 消費税の免税が可能
    • 新設法人の売上が1,000万円以下なら消費税の納税義務がない(最大2年間)。
    • これにより、実質8~10%の税負担軽減ができる。

法人化のデメリット

  • 設立・維持コスト(登録免許税、法人住民税など)がかかる。
  • 社会保険の加入義務が発生する(個人事業主なら不要)。
  • 税務や会計の管理が煩雑になる。

④ 会社員のみ vs 副業あり vs 法人化の比較表

項目会社員のみ副業(個人事業)法人化
経費計上✖︎ 不可◉ 可能◉ 可能
青色申告控除✖︎ なし◉ 最大65万円✖︎ なし
損益通算✖︎ なし◉ 可能✖︎ 不可
節税効果低い中程度高い
社会保険の影響変わらず変わらず◉ 節約可能
住民税でバレるリスクなしありなし
税務管理の手間少ないやや増える大きい

⑤ 結論:どちらが節税しやすいか?

  • 節税を考えるなら「副業あり」の方が有利。
  • ただし、副業で一定の収入が継続するなら法人化が最も節税効果が大きい
  • 「副業+個人事業」で経費を計上しつつ、「法人化のタイミングを見極める」のが賢い戦略。

おすすめの流れ

  1. まずは副業を個人事業主として始める
    • 青色申告を活用して節税
    • 経費をしっかり計上して所得を圧縮
  2. 収入が安定したら法人化を検討
    • 目安: 副業収入が500~800万円以上になったら法人化が有利に
  3. 法人化後は役員報酬や法人保険でさらに節税を図る

補足:副業が会社にバレないようにするには?

  • 住民税の「特別徴収」を避け、「普通徴収」に変更する
  • 副業の収入が20万円以下なら確定申告不要(ただし住民税申告は必要)
  • 会社の就業規則を確認し、副業禁止規定がないかチェック

法的根拠

このように、副業をすることで節税の余地は大きく広がります。
収入の規模や継続性に応じて、個人事業→法人化を視野に入れると、最適な節税が可能になります!

この内容は、日本の所得税法、法人税法、租税特別措置法、
消費税法などの税法に基づいた合法的な節税策を説明しており、
違法行為(脱税や租税回避行為)には該当しません

以下、ポイントごとに法的根拠を確認します。

1. 副業で経費を計上するのは違法?

合法(所得税法 第37条:必要経費の控除)

根拠:
所得税法第37条では、事業所得や不動産所得に関する必要経費は控除できると規定されています。
**重要なのは「事業に関係のある費用のみ計上すること」**です。

違法になるケース(脱税行為)

  • 事業と無関係な支出を経費として計上する(例:プライベートの旅行を「出張費」とする)。
  • 経費の架空計上(領収書を偽造するなど)。

2. 青色申告特別控除(最大65万円)は合法?

合法(所得税法 第57条:青色申告)

根拠:
青色申告を行い、適切な帳簿を備えることで、所得税法上の控除を受けることが可能。
注意点:

  • 「青色申告承認申請書」を事前に税務署に提出する必要がある(期限:開業から2ヶ月以内)。
  • 65万円控除を受けるには複式簿記での記帳が必要。

3. 副業の赤字を給与所得と相殺(損益通算)するのは違法?

合法(所得税法 第69条:損益通算)

根拠:
事業所得の赤字は、給与所得と損益通算が可能。
ただし、以下のケースは違法と判断される可能性あり。

違法・否認されるケース

  • 副業の実態がない(売上ゼロなのに「事業」だと申告する)。
  • 事業としての継続性がない(税務調査で「趣味の範囲」とみなされる)。
  • 生活費や個人的な支出を経費に含める。

ポイント:
副業が「事業」と認められるためには、継続性・営利性・規模の3要素が重要。
たとえば、「たまにしか売上がないハンドメイド販売」は事業ではなく「雑所得」とされ、
損益通算できない可能性がある。


4. 法人化することで節税するのは違法?

合法(法人税法、会社法)

根拠:

  • 法人税は一律15%(800万円以下)または23.2%(超過分)(法人税法第66条)。
  • 給与所得控除を活用するために役員報酬を支給するのは適法
  • 家族を役員にして給与を支払うのも適法(ただし実態が必要)

違法・否認されるケース

  • 会社の実態がないペーパーカンパニー(脱税目的の法人化)。
  • 役員報酬を異常に低く設定し、法人の利益を溜め込む(法人税法違反)。
  • 名義だけの役員(実際に働いていない家族)に給与を払う。

5. 消費税の免税制度(1,000万円以下)を利用するのは違法?

合法(消費税法 第9条:免税事業者)

根拠:

  • 新設法人は原則2年間、消費税の納税義務がない(ただし、資本金1,000万円以上の場合は適用外)。
  • 事業の売上が年間1,000万円以下であれば、免税事業者として消費税を納めなくてもよい。

違法・否認されるケース

  • 実質1つの事業なのに「個人事業と法人を分けて1,000万円以下に見せる」(税務調査で否認される)。
  • 実際の売上を過少申告して1,000万円以下に偽装する。

6. 会社に副業がバレないようにするのは違法?

違法ではないが、会社の就業規則違反になる可能性あり

住民税を「普通徴収」にするのは合法(地方税法 第317条)

  • 住民税を普通徴収(自分で支払う方式)にすることで、会社に副業の所得額が知られるのを防ぐことが可能。
  • ただし、会社の就業規則で副業が禁止されている場合、懲戒処分の対象になる可能性はある。

結論

この内容は法に触れるものではなく、適法な節税の方法を説明したものです。
ただし、違法行為(架空経費・過少申告・ペーパーカンパニー等)を行うと脱税になるため注意が必要
実態を伴う形で正しく税務申告をすれば、適法な範囲で節税が可能

副業や法人化を検討する場合、税理士に相談するのが最も確実です。

最後までご覧いただきありがとうございます。