
笑い学研究30(2023.8)」に掲載された論文で、
「対面での笑いヨガの実践による心理状態の変化および性格特性との関連」についての研究です。
笑いヨガとビッグファイブの関連を調べた内容となっています。
研究の目的
この研究では、笑いヨガの実践が心理状態に与える影響と、
性格特性(Big Five)との関連を調査しています。
特に、笑いヨガの短期的な心理的効果と、
継続的な実践による性格特性の違いに着目しています。
研究方法
- 参加者: 日本の笑いヨガ実践者および非実践者、計24名(54~83歳)
- 実験内容:
- 参加者は75分間の笑いヨガセッションに参加
- 実践前後で気分(PANAS)および状態不安(STAI A-State)を測定。
- 実践後にBig Five性格特性尺度に回答。
- 笑いヨガの構成:
- ウォーミングアップ(手拍子、深呼吸、子どもにかえるキーワード)
- 笑いの体操(呼吸の笑トレ、ストレッチ笑トレ、超ポジティブ笑トレなど)
- クールダウン(ヨガの呼吸法)
主な結果
- 心理状態の変化
- 実践前後でポジティブ気分(PA)は増加し、ネガティブ気分(NA)と状態不安は減少
- 非実践者は実践前にネガティブ気分が高かったが、実践後には実践者と同等に低下
- 性格特性(Big Five)との関連
- 実践者は「調和性(Agreeableness)」が非実践者より有意に高い
- 「開放性(Openness)」も高い傾向がみられた
- 神経症傾向(Neuroticism)は実践者のほうが低い傾向
- 外向性(Extraversion)や誠実性(Conscientiousness)は実践者のほうが高いが、有意差なし
- 笑いヨガの実践頻度との関係
- 実践期間が長いほど、実践後のポジティブ気分の増加が大きい
- 実践時間が長いほど、実践後のネガティブ気分が低い
- しかし、長時間の実践は神経症傾向の増加や開放性の低下と関連する可能性も示唆された
という上記の内容がみられました。
結果のまとめがわかったところで、笑いヨガって一体何。
いかがその内容です。
笑いヨガ

【1】ウォーミングアップ
① 手拍子
方法
- 両手を大きく広げ、元気よく手を叩く。
- 「ホッホッ、ハハハ!」とリズムよく声を出す。
- 手のひらをしっかり合わせ、脳の活性化を促す。
効果
✅ 手のひらの刺激で脳を活性化(ツボの刺激)
✅ リズムを取ることで、心身が自然と動きやすくなる
✅ 周囲との一体感を高め、笑いに入りやすくする
② 深呼吸
方法
- 鼻からゆっくりと息を吸い、両腕を上に伸ばす。
- 口からゆっくり息を吐きながら、腕を下げる。
- 吐くときに「ハーッハッハッハ!」と軽く笑いを入れる。
- これを3回繰り返す。
効果
▷ 自律神経を整え、リラックス効果を高める
▷ 息を深く吸い込むことで、血流を良くし、体を温める
▷ 笑いと組み合わせることで、ストレス軽減の効果が高まる
③ 子どもにかえるキーワード
方法
- 「ワーイ!」と子どものように両手を挙げる。
- 「ウフフ」「キャハハ」など、子どもっぽい笑いをする。
- ジャンプやスキップを加えると、より効果的。
効果
▷ 遊び心を取り戻し、笑いやすい環境を作る
▷ 身体を使うことで、自然な笑いが出やすくなる
▷ 大人が持ちがちな「恥ずかしさ」を軽減し、笑いに没入できる
【2】笑いトレ(笑いの体操)
① ミルクセーキ笑い
方法
- 片手でコップを持つようなジェスチャーをする。
- もう片方の手でスプーンを持ち、ミルクセーキをかき混ぜる動作をする。
- スプーンを口に運び、「ハハハ!」と笑いながら飲む動作をする。
- 大げさに楽しそうに演じるのがポイント。
効果
▷ リラックスしながら笑えるため、初心者向け
▷ 手の動きを加えることで、笑いを意識しやすくなる
▷ 日常的な動作を取り入れることで、自然な笑いを促す
② ワイパー笑い
方法
- 両手を前に出し、ワイパーのように左右に動かす。
- ワイパーが動くリズムに合わせて、「ハハハ!」「ホホホ!」と笑う。
- テンポを速めたり、左右の腕を交互に動かしたりして変化をつける。
効果
▷ 単純な動作の繰り返しがリズム感を生み、自然な笑いを引き出す
▷ 腕の動きを加えることで、肩や首のこわばりを解消
▷ グループで行うと、テンポがそろい、より楽しくなる
③ 梅干し笑い
方法
- 酸っぱい梅干しを食べたような表情を作る。
- 「すっぱ〜い!」と言いながら、無理やり笑う。
- 次第に表情をほぐし、自然な笑いに切り替える。
効果
▷ 表情筋を鍛え、笑顔を作る練習になる
▷ 「つくり笑い」から「本物の笑い」へ移行しやすい
▷ 気分が落ち込んでいるときでも、気持ちを明るくできる
④ 高額請求書笑い
方法
- 目の前に「高額請求書」があると想像する。
- 請求額を見た瞬間、大げさに驚きながら「ハハハ!」「ホホホ!」と笑う。
- 「こんなに高いなんて信じられない!」と言いながら、さらに大笑いする。
- 最後に「まあ、なんとかなる!」とポジティブな言葉で締める。
効果
▷ お金に関するストレスを笑いに変え、気持ちを軽くする
▷ 現実を受け入れやすくなり、冷静な判断ができるようになる
▷ 金銭的プレッシャーを感じやすい人に特に有効
【3】クールダウン
① 片鼻交互呼吸
方法
- 右手の親指で右の鼻を押さえ、左の鼻から息を吸う。
- 薬指で左の鼻を押さえ、右の鼻から息を吐く。
- これを交互に繰り返し、ゆっくりと呼吸を整える。
効果
▷ 自律神経を整え、リラックス効果を高める
▷ 心を落ち着け、笑いの後のクールダウンになる
▷ 呼吸に集中することで、集中力が高まる
② ハミング呼吸
方法
- 鼻からゆっくり息を吸う。
- 息を吐くときに、「ん〜♪」とハミングする。
- これを繰り返しながら、心を落ち着ける。
効果
▷ 副交感神経を刺激し、心身のリラックスを促す
▷ 声を出すことで、気持ちを穏やかにする効果がある
▷ 寝る前やストレスを感じたときに効果的
4. まとめ
笑いの種類 | 方法 | 主な効果 |
---|---|---|
ウォーミングアップ | 手拍子・深呼吸・子どもにかえる | 体をほぐし、笑いやすい状態を作る |
笑いトレ | ミルクセーキ笑い・ワイパー笑い・梅干し笑い・高額請求書笑い | ストレス解消・ポジティブ感情の向上 |
クールダウン | 片鼻交互呼吸・ハミング呼吸 | リラックスし、心を落ち着ける |
◉ 笑いヨガのさまざまな方法を活用し、
ストレスを解消しながらポジティブな気持ちを養うことができます!
笑いヨガが単なる「笑い」ではなく、
身体的・精神的な健康増進を目的として、
科学的なアプローチを取り入れていることがわかります。
笑うことってすごく大切です。
どこかでみたのですが、泣かすことよりも、
笑わす方が難しい。
今の時代には昭和のような人を笑わせる、ほっこりするような感じって少ないなあって。
私はアマチュア落語をやっているので、笑わすということをやっているわけですが、
笑うツボってなかなかこれが難しい。
自然体でやるとこれが受けたりする。
自然と笑顔があふれ、こぼれる環境づくりが必要ではないでしょうか。
次回はビッグファイブとの関連も見ていきます。
最後までご覧いただきありがとうございます。
参考資料
高田 明(2023). 『対面での笑いヨガの実践による心理状態の変化および性格特性との関連』, 2025年2月15日アクセス.https://www.jstage.jst.go.jp/article/warai/30/0/30_19/_article/-char/ja
笑いヨガとビッグファイブ2へつづく