BMIとビッグファイブ分析3

前回はビッグファイブとBMIの関連において、
欧米と日本の研究結果の相違についてお話を進めました。

ここでは健康経営の施策の詳細についてお話を進めていきます。

ビッグファイブを活用した健康経営の施策

ビッグファイブ(Big Five)パーソナリティ分析を活用して、
従業員の特性に合わせた健康管理施策を展開することで、
個別最適化された健康支援を提供し、
健康経営を推進することが可能です。

各パーソナリティ特性(勤勉性、外向性、神経症傾向、協調性、開放性)に基づき、
具体的な施策を提案します。


1. 勤勉性(Conscientiousness)と健康経営施策

特徴:

  • 計画的で自己管理能力が高い
  • 健康的な生活習慣を維持しやすい
  • 目標設定やルールに従う傾向が強い

施策: 自己管理能力を活かした健康推進

目標ベースの健康プログラム

  • ウォーキングチャレンジ、カロリー管理アプリの導入
    → 勤勉性の高い人は自己管理を重視するため、個別の目標設定が効果的。
  • ヘルスケアポイント制度の導入
    → 健康行動(運動、睡眠、栄養バランス)に対してポイントを付与し、
    インセンティブを提供する。

計画的な健康管理の促進

  • 社内フィットネスプログラム(事前計画型)
    → 運動プランを事前に設定し、習慣化しやすい仕組みを整備。
  • 定期的な健康チェックとデータ管理
    → 勤勉性の高い人はデータを活用した健康管理を好むため、個別フィードバックを提供。

2. 外向性(Extraversion)と健康経営施策

特徴:

  • 社交的で人と交流することを好む
  • 外食・飲酒の機会が多く、不健康な食生活になりやすい
  • 楽しみながら行う活動が効果的

施策: 社交性を活かした健康促進

グループ運動プログラムの導入

  • チーム対抗の運動チャレンジ(例: 歩数競争、ヨガ・フィットネスクラス)
    → 外向性の高い人は競争やチーム戦が好きなため、ゲーム要素を加える。
  • 社内スポーツイベント(例: フットサル大会、マラソン参加)
    → 社交性を活かし、楽しみながら運動できる環境を提供。

飲食習慣の改善

  • 健康的な社食メニューの充実 & チームランチ
    → 外食の多い外向性の高い人向けに、健康的なランチメニューを提供し、仲間と楽しく食べられる環境を整える。
  • ヘルシーな飲み会オプション
    → 低カロリー・低アルコールメニューの提案、飲み会後の運動プログラムの実施。

社交的な健康意識の向上

  • 健康アンバサダー制度(健康意識の高い外向的な社員をリーダーに)
    → 外向性の高い人は影響力が強いため、彼らをリーダーにし、健康意識を広める役割を担ってもらう。

3. 神経症傾向(Neuroticism)と健康経営施策

特徴:

  • ストレスを感じやすく、不安や気分の浮き沈みが激しい
  • 精神的な負担が健康行動に影響を与える
  • ストレス対処法の提供が重要

施策: メンタルヘルス支援とストレス管理

ストレス管理プログラム

  • マインドフルネス瞑想・ヨガプログラムの導入
    → 神経症傾向の高い人はストレスに敏感なため、リラクゼーション手法を提供。
  • カウンセリング & メンタルサポート制度
    → 産業カウンセラー、心理士による相談窓口の設置。
  • ストレスログ機能付き健康アプリの導入
    → 自分の感情を記録し、適切なセルフケアができる環境を整備。

食生活の改善(ストレス食い対策)

  • ストレス食いを防ぐ健康スナックの提供(低GI食品、ナッツ、ヨーグルトなど)
    → ストレスが原因で暴飲暴食に走らないように、職場環境を整備。

職場環境の整備(静かなエリアの設置)

  • 集中できる静かなオフィスエリアの設置
    → ストレスを感じやすい人向けに、リラックスできる作業スペースを用意。

4. 協調性(Agreeableness)と健康経営施策

特徴:

  • 他人との協力を重視し、調和を大切にする
  • 周囲の影響を受けやすい
  • チームでの取り組みが効果的

施策: 周囲との協力を促す健康支援

チーム型の健康促進活動

  • 健康ペア制度(例: 健康ウォーキングバディ)
    → 一人ではなく、協力しながら健康行動を実施する仕組み。
  • グループ目標の設定(例: 部署ごとの歩数目標)
    → チーム単位で達成することで、協調性の高い人がモチベーションを維持。

健康的な食習慣を広める仕組み

  • 健康志向の食文化を醸成(例: 社内の健康料理コンテスト)
    → 協調性の高い人は周囲の影響を受けやすいため、職場全体で健康志向を強化。

5. 開放性(Openness)と健康経営施策

特徴:

  • 新しいことに興味を持ち、変化を好む
  • 創造的なアプローチが効果的
  • 健康意識が高い場合と低い場合に分かれる

施策: 創造的な健康プログラムの提供

多様なアクティビティの導入

  • 選択制のフィットネスプログラム(ヨガ、ピラティス、ボルダリングなど)
    → 開放性の高い人は単調な運動を嫌うため、多様な選択肢を用意。
  • 食の多様性を活かした健康食イベント
    → 世界の健康食(地中海式、ヴィーガン食など)を試せる社内イベントを開催。

最新技術を活用した健康促進

  • VRフィットネス、ウェアラブルデバイス活用
    → 開放性の高い人は新しい技術に興味を持ちやすいため、最新の健康ツールを導入。

まとめ

勤勉性が高い人: 自己管理を活かした健康施策(目標設定・データ管理)
外向性が高い人: 社交性を活かした健康施策(チーム対抗運動・健康的な飲食環境)
神経症傾向が高い人: ストレス管理を重視(マインドフルネス・カウンセリング)
協調性が高い人: チームでの健康促進(健康ペア制度・グループ目標)
開放性が高い人: 新しい体験を活かした健康施策(多様な運動・最新技術活用)

ビッグファイブを活用した個別最適化された健康経営は、
企業の生産性向上や従業員の満足度向上に寄与するでしょう。

健康経営のヒントになるお話であったかと思います。
ビッグファイブ分析は世界中で色々な分野に利用されています。

論文数も多く、信頼性の高い性格分析です。
他にこれほどぶれない分析であることは、
世界中で研究し利用されていることがその証明です。

性格分析を利用することでその人の概要が見えてきます。
勘と経験でないデータを利用することでよりパーソナライズされた、
プログラム作成が可能となり、また管理もしやすくなります。

さてあなたの企業ではどのような健康経営をおこなっていますか。
それはその人にあったプログラムや施策ですか。

最後までご覧いただきありがとうございます。

参考資料

吉野伸哉・小塩真司 (2020). 『日本におけるBig Fiveパーソナリティ特性とBMIの関連』, 2025年2月20日アクセス. https://doi.org/10.4992/jjpsy.91.19320