OCB:職場の環境要因と社内の協力関係

論文のタイトルは、
【性格特性と職場環境の相互作用が若年就業者の組織市民行動に与える影響:組織内自尊感情による媒介効果に着目して】

とても長いタイトルですが、内容は社内の人間関係が職務に及ぼす影響について調査した内容です。
上司と部下の関係性のあり方についても触れられたに内容です。
では詳細についてみていきます。

研究のきっかけ(背景)

① 成果主義がもたらした「個人主義化」の進行

  • 成果主義的賃金制度の普及により、
    働く人たちが組織全体の成果よりも「自分の成長」や「自分の評価」を重視するようになった。
  • その結果、同僚との助け合いや職場の連携が減少し、
    メンタル不調者が増えるという悪循環が生じている(例:日本経営協会の調査, 2013)。

② 若年就業者における「個人化」の加速

  • 特に若年層は組織に対する帰属意識やチームへの貢献意識が希薄になりがち。
  • 初期キャリアの段階で、職場での人間関係や助け合いをどう築くかは、その後の職場適応にも影響する。

つまり、「若者が自分のことばかり考えて、職場で協力しない」という現象に対して、
「どうすれば自然に助け合うようになるのか?」を解明したかったわけです。


今回の研究調査が「性格特性×職場環境の相互作用」を調査したのかについてみていきます。

③ 性格だけでは片手落ち

  • 誠実性や協調性のような性格特性は変えにくいため、
    「性格がいい人を採用しよう」としても限界がある。
  • 実務上は、「性格に合わせて、どんな環境(上司・同僚との関係や仕事の仕組み)を用意するか」が大事。

④ 心理的なプロセス(自尊感情)を挟む視点が不足していた

  • 組織内で「自分は必要とされている」という自尊感情(OBSE)が、
    助け合い行動(組織市民行動)を生む鍵になる。
  • これまでの研究では「性格→行動」のストレートな関係ばかり注目されていて、
    心の中で何が起きているかはあまり見られていなかった。

この研究には斬新さがあります。今までの研究調査では、
職場の環境について着目はされてきたが、環境の重要性が語られていなかった。
若者にどう向き合っていくのか、その環境づくりのヒントになる内容となっています。

  • 「若手にどう助け合い行動を促すか?」という実務的な問いに、
    心理学の理論とデータで答える
  • 性格と環境の“相互作用”をふまえ、
    変えられない性格ではなく、変えられる職場環境に注目
  • 自尊感情を「助け合いを引き出す鍵」として捉え、
    組織づくりや上司の関わり方に応用可能な示唆を提供。

つまりこの研究、
現在多くの企業が抱えている課題、「Z世代が“自分さえ良ければ”な働き方をして困ってる…」
という現場の声に、
「じゃあ“自分も大切にされてる”って思える関係性と職務設計を作ろう!」
っていう、かなり実用的かつあたたかい視点から切り込んだ研究なんです。

また今の若者は孤立はしたくないという意識も持ち合わせているため、
大切にされていると感じる環境構築がZ世代に対する課題解決の答えが見つかるかも。

「組織市民行動(OCB)」って何?

定義:
Organ(1988)が定義したもので、

「従業員が正式な職務には含まれないけれど、自発的に組織の円滑な運営を助ける行動」
を指します。

もっとわかりやすく言うと…

  • 「誰に言われたわけでもないけど、職場をよくしようとする行動」
  • 「評価されないけど助けてくれた」「面倒だけど丁寧に教えてくれた」…そんな行動!

OCBが生まれた背景

1970〜80年代のアメリカの職場文化

当時の組織心理学の世界では、こんな問いがありました:

「成果や評価では測れない“良い職場行動”ってなんだろう?」

そこから、

  • ◉ タスクを“超えて”周囲に気を配る行動
  • ◉ リーダーや同僚を支える行動
  • ◉ トラブル時に冷静にふるまう行動

みたいな、「空気を良くする行動」が実は組織にとってめちゃ大事!って注目されるようになったんです。


OCBの代表的な5つのタイプ(Organの5次元モデル)

  1. 愛他主義(Altruism)
     例:困っている同僚を手伝う
  2. 誠実さ(Conscientiousness)
     例:ルールや時間をきちんと守る
  3. 礼儀正しさ(Courtesy)
     例:人に迷惑がかからないよう配慮する
  4. スポーツマンシップ(Sportsmanship)
     例:文句を言わず、前向きに対応する
  5. 市民的美徳(Civic Virtue)
     例:会社のイベントや改善活動に積極的に関わる

日本版OCBでは?

田中氏(2002)によって、日本人向けにローカライズされたモデルがあります。

日本版の主な因子:

  • 対人的援助(例:トラブル時に率先して手伝う)
  • 職務上の配慮(例:質問には丁寧に答える)
  • 誠実行動(例:不必要に仕事をサボらない)

※この論文でも、この日本版OCB尺度が使われています。


なぜ今OCBが大事なの?

▶ 成果主義で評価されない“職場の空気”に目が届かなくなった時代だからこそ必要な考え
▶ Z世代の「合理主義」や「個人主義」とどう向き合うかのヒントになる
助け合い/協力/丁寧な配慮って、目には見えにくいけど、実は生産性にめちゃ影響してる!


OCBの重要ポイントまとめ!

観点内容
起源Organ(1988)が提唱
概念「自発的な、役職に直接関係しないけど組織にプラスな行動」
同僚の手助け、ポジティブな態度、時間厳守、チーム参加
なぜ重要?メンタルヘルスや職場の空気、生産性に強く影響する
現代との関係Z世代や成果主義と向き合う中で、見直されつつある

今回は概念のみのお話です。このOCBとは、
従業員が正式な職務には含まれないけれど、自発的に組織の円滑な運営を助けを指すとあります。

私たちの仕事は効率化という言葉により、
本当に必要な『ムダ』まで無くしてしまったのではないかとおもます。
成果主義も大切ですが、仕事は1人では行うものではなく、
多くの人との関わりで成立します。

ここでいう『ムダ』とは成果主義におけるムダです。
しかし本当の成果につながらなくても、成果や評価にはつながらないけど、
人として大切な行動が組織の活性化へつながると個人的には信じています。

その行動が多くはバカなのかと評価されることが多いのでは。
そんなことをして何になる、損得だけで判断されてしまう風潮になっている危機感も感じます。

効率化も大切ですが、組織が本当の意味で活性化する、
良い行動にも目を向ける必要がるのでは。

あなたはどのように感じますか。

最後までご覧いただきありがとうございます。

参考資料

乗松未央・木村裕斗(2021).
『性格特性と職場環境の相互作用が若年就業者の組織市民行動に与える影響:組織内自尊感情による媒介効果に着目して』,
『産業・組織心理学研究』, 35巻2号, pp.151-166.
2025年3月23日アクセス.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jaiop/35/2/35_235/_article/-char/ja/