
前回はこの研究調査のきっかけと、OCBについてのお話を進めました。
ここではOCBの研究内容についてからお話を進めていきます。
研究調査内容
- 性格特性(誠実性・協調性)
- 職場環境(上司・同僚との関係、タスクの相互依存性)
- 組織内自尊感情(OBSE)
ビッグファイブ、環境、感情の相互作用が、
OCBにどう影響するかを調査しています。
※OCBとは助け合い」などの組織市民行動(OCB: Organizational Citizenship Behavior)
【調査概要】
- 対象者:20代の正社員、勤続3年以上10年未満、380名
- 方法:Webパネル調査(クロス・マーケティング)
- 測定尺度:
- 組織市民行動:対人的援助、職務上の配慮、誠実行動の3因子
- 性格特性:HEXACO-60による誠実性と協調性(協調性は信頼性低く除外)
- 職場環境:LMX、TMX、仕事/目標の相互依存性
【主な結果】
▶︎ 分析1(共分散構造分析):
- LMXとTMXは直接的にOCBに影響しないが、組織内自尊感情を媒介して対人的援助に影響。
- 誠実性が高い人ほどOCBが活性化されやすい。
- 誠実性の低い人でも、仕事の相互依存性が高いと援助行動が活性化される。
▶︎ 分析2(誠実性による多母集団分析):
- 誠実性が高い群:TMX(同僚との関係)がより強く影響。
- 誠実性が低い群:LMX(上司との関係)や相互依存性の高い職務設計が効果的。
- OBSE(組織内自尊感情)が両者において重要な媒介要因。
OBSEとLMXとTMXの詳細についてお話を進めていきます。
1. 組織内自尊感情(OBSE)
定義(Pierce et al., 1989)
「私はこの組織にとって価値ある存在だ」
という感覚(≒ 組織内での“自己肯定感”)
OBSEが高い人の特徴
- 「この会社に自分の居場所がある」と感じている
- 自発的に協力・提案・挑戦ができる(=OCBが起きやすい)
- 失敗を恐れすぎず、建設的に動ける
OBSEが育つ要因
要因 | 例 |
---|---|
認知的評価 | 「あなたの行動が助けになった」と言われる |
役割の重要性 | 会議で意見を求められる、役割を任される |
自律的な業務 | 自分の判断が尊重されるタスク設計 |
承認と称賛 | 上司や同僚からの「見てるよ」「ありがとう」 |
OBSEが低いと…
- 組織への帰属意識が低く、やらされ感・疎外感が強くなる
- 結果として、離職意向・無気力・指示待ち行動に陥りやすい
2. LMX(Leader-Member Exchange)
= 上司と部下の信頼・協力・心理的距離感
定義(Graen & Uhl-Bien, 1995)
上司と部下がどれだけ信頼・相互理解のある関係かを示す理論
LMXの質が高い関係
LMXが高い | LMXが低い |
---|---|
信頼され、裁量が与えられる | 指示・命令が中心 |
相談・提案がしやすい | 会話は業務報告だけ |
認められ・評価されている | 存在感が薄い・公平感がない |
LMXがOCBやOBSEに与える影響
- LMXが高いと→OBSEも高まりやすい
- 結果として、部下が自発的に助け合いや提案(OCB)を起こしやすくなる
上司ができる「LMX向上アクション」
- 傾聴する(業務だけでなく感情にも)
- 意見を否定しない/理由を説明する
- 裁量と信頼をセットで渡す
- 小さな貢献を言語化して認める
3. TMX(Team-Member Exchange)
= 同僚との信頼・協力・情報共有の質
定義(Seers, 1989)
チームメンバー間における「助け合い・協力・共有」の質を表す概念
TMXが高いチームとは?
- 情報やノウハウの共有が自然に行われている
- 相互に感謝し合い、助け合いの文化がある
- 「お互いさま」の空気がある
TMXが高まると?
- 心理的安全性が高まり、ミスの共有や学びが活発に
- OCB(他者志向の貢献)が自然に行われやすくなる
- チームのエンゲージメントと生産性が向上する
TMX向上のための工夫
工夫 | 具体例 |
---|---|
感謝・称賛文化 | 「ありがとうカード」「称賛タイム」 |
共通の目標・理念の共有 | チームMTGで「我々が目指す姿」を確認 |
バディ制度 | 世代や職種を超えた協働タスク設計 |
チーム全員での振り返り | 成果+プロセスを皆で共有・承認する場づくり |
3つの関係性まとめ
キーワード | 内容 | 組織市民行動(OCB)との関係 |
---|---|---|
OBSE | 組織内での自尊感・自己肯定感 | 「貢献したい」という内発的動機になる |
LMX | 上司との関係性の質 | 信頼・裁量が生まれ、OBSEを高める |
TMX | 同僚との協力・共有の質 | 安心感と連携が育ち、助け合い行動が活性化 |
実務への応用例
- 1on1でOBSEチェック項目を導入
- マネージャー研修でLMXスキル強化
- TMX強化施策としてバディ制度・称賛文化づくり
- 全体でOCBを“見える化して評価”できる仕組みづくり
いかがでしたでしょうか。
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次回はOCB理論についてもっと詳しく見ていきます。
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最後までご覧いただきありがとうございます。
参考資料
乗松未央・木村裕斗(2021).
『性格特性と職場環境の相互作用が若年就業者の組織市民行動に与える影響:組織内自尊感情による媒介効果に着目して』,
『産業・組織心理学研究』, 35巻2号, pp.151-166.
2025年3月23日アクセス.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jaiop/35/2/35_235/_article/-char/ja/
OCB:職場の環境要因と社内の協力関係3へつづく