Z世代を理解する
Z世代はいろいろ言われていますが、この世代を知る手掛かりとして、
「Generation Z goes to College」(『Z世代の大学生活』)があります。
Corey SeemillerとMeghan Graceによって書かれた本で、
Z世代(1995年以降生まれ)の学生の特徴や価値観、
学び方、社会的関心について調査し、彼らが大学でどのように学び、
社会とどのように関わっているかを分析しています。
この本は、1,100以上の米国の大学と1,223人の学生へのアンケート結果を基にしています。
内容を踏まえて、Z世代の活かし方をご紹介。
内容の概要
- Z世代の特徴と価値観
- Z世代は「デジタルネイティブ」世代であり、
幼少期からインターネットやデジタル機器に触れて育ちました。 - 多様性を尊重し、社会正義や平等を重視し、
革新や自己主導性が強い世代です。
また、家族との関係も非常に大切にしています。
- Z世代は「デジタルネイティブ」世代であり、
- 学び方と教育への期待
- Z世代は情報への即時アクセスを求め、
自分のペースでの学習を好む傾向があります。
従来の講義形式ではなく、
体験型学習や実践的なスキル習得を重視する学習環境を好みます。 - 授業においても教師は単なる知識の伝達者ではなく、
ファシリテーターとしての役割を果たすことが期待されています。
- Z世代は情報への即時アクセスを求め、
- 社会的および政治的信条
- Z世代はリベラルで社会的課題への関心が高く、
特に人種的平等、性別平等、環境問題に関心を持っています。
しかし、政治そのものへの信頼は低く、
既存の政治システムからは距離を置く傾向があります。
- Z世代はリベラルで社会的課題への関心が高く、
- リーダーシップとキャリア観
- Z世代は自分の強みを磨くことでリーダーシップを発揮しようとする傾向があり、
既存の欠点を補うことよりも、自身の長所を生かすスタイルを重視しています。 - 将来の仕事においては、自分のビジネスを持つなどの起業志向が強く、
働きがいを求めてキャリアを選択する傾向があります。
- Z世代は自分の強みを磨くことでリーダーシップを発揮しようとする傾向があり、
- 大学側への提言
- 大学や教育機関は、
Z世代の学び方や価値観に合わせた教育環境を提供する必要があるとしています。
例えば、フリップド・クラスルーム(授業内容の事前学習と授業での実践活動の組み合わせ)や、
ソーシャル・ラーニングの強化、
キャリアに役立つ実践的なスキルを学べるプログラムなどが推奨されています。
- 大学や教育機関は、
山本五十六の言葉とZ世代
教育環境は山本五十六のやってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、
人は動かじ。話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。
やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。
この言葉が教育にはとてもマッチしています。
まさにZ世代の教育環境において理想的な指導アプローチとしてマッチすると考えられます。
特に、Z世代の学生が学びに求めるものと非常に共通点が多く、
彼らが自分の強みを生かしながら成長するための指導法としても適しています。
マッチする理由
- やってみせ、言って聞かせて、させてみせる
Z世代の学生は実践的かつ体験型の学びを好みます。
従来の知識の一方的な伝達ではなく、教師や指導者がまず実践を示し、
次にその過程を丁寧に説明し、
自分でも試してみることを重視するスタイルが効果的です。
これにより、学生は知識だけでなくスキルの実際の応用方法を理解しやすくなります。 - ほめてやる、信頼することで人を動かす
Z世代は評価やフィードバックを重視する傾向があり、
自己成長や他者への貢献に価値を見出します。
したがって、学習過程での成功や努力を認め、
彼らの主体性や創造性を信頼することで、より自主的に行動するようになります。
山本五十六の「ほめてやらねば、人は動かじ」という言葉は、
彼らのやる気を引き出し、
行動を促進する上での重要なポイントです。 - 信頼し、見守り、承認する
Z世代の学生は、自由度の高い学びを求め、
独立心も強いです。指導者がただ見守りながらも、
彼らの努力や成功を認めて信頼する姿勢は、
彼らが自分で考え行動する力を育てるために重要です。
「やっている姿を感謝で見守り、信頼せねば、人は実らず」という言葉は、
Z世代の自立心や成長を引き出すための教育方針として非常に有効です。
このように、
山本五十六の言葉はZ世代の学び方や指導への期待にフィットしており、
教育現場での有効な指針となり得ます。
この姿勢は、
Z世代の価値観や学習ニーズに応じた柔軟で信頼を重視した教育環境の提供に役立ちます。
ビジネスの現場で山本五十六の言葉を実践
山本五十六の言葉は、
ビジネス現場においてZ世代の人材育成モデルとして応用できる
可能性が十分にあると考えています。
Z世代は自己成長や自己表現を重視し、
理想主義や社会的意義を求める傾向があるため、
山本五十六のリーダーシップ哲学が彼らの特性に合致する部分が多くあります。
山本五十六の言葉を活かしたZ世代育成モデルのポイント
- 「やってみせ、言って聞かせ、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」
- 実践を通じた指導: Z世代は単に教えられるだけでなく、
自らの手で体験し、実践を通して学ぶことを好みます。
例えば、指導者がまず模範を示し、次にその意味や理由を説明し、
さらにZ世代が主体的に実行していく機会を与えることで、
彼らの成長意欲を引き出します。 - 肯定的なフィードバック: Z世代は評価やフィードバックを重視するため、
実践の場面で達成や努力を褒める姿勢が彼らのモチベーションを高め、
行動に繋がります。
- 実践を通じた指導: Z世代は単に教えられるだけでなく、
- 「話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず」
- 共感と傾聴の姿勢: Z世代は対等な関係や意見を
聞き入れてもらえることを大切にしています。
したがって、指導者が耳を傾け、
意見や不安をしっかり受け止めることが、
彼らが安心して意見を発言できる土台となります。 - 信頼して任せる: 自己成長意欲が高いZ世代に対しては、
一定の責任ある役割を任せ、自分で考え、
行動する機会を提供することで、成長を促進できます。
- 共感と傾聴の姿勢: Z世代は対等な関係や意見を
- 「やっている姿を感謝で見守り、信頼せねば、人は実らず」
- 見守る姿勢: Z世代はリーダーや上司の細かい指示よりも、
ある程度の裁量を持ちながら、
自分のペースで進めることを望みます。
信頼して任せ、彼らが努力している姿を見守り、
困った時にはサポートする姿勢が、Z世代の能力を引き出す鍵になります。 - 感謝と信頼の表現: Z世代は自分の努力を認めてもらいたいと考える傾向が強いため、
上司が彼らの姿を感謝の気持ちを持って見守り、
信頼を伝えることで、自己効力感が高まり、
さらに成長意欲が促進されます。
- 見守る姿勢: Z世代はリーダーや上司の細かい指示よりも、
Z世代のための人材育成モデルとしての意義
山本五十六の言葉に基づくこの育成モデルは、
Z世代が求める「自己成長」「共感」「信頼」を
基盤とする人材育成のアプローチです。
彼らの特徴である自己成長欲求と
率直な意見交換への意識を尊重しつつ、
実践を通じた学びやフィードバックの場を提供することで、
Z世代が主体的に成長し、
組織に貢献できる環境を整えることが可能となります。
このモデルを取り入れることで、
企業もZ世代の特性に合わせた育成ができ、
組織全体の活力を高めることが期待されます。
最後までご覧いただきありがとうございます。
参考資料
Corey Seemiller and Meghan Grace.“Generation Z Goes to College ”, published by Jossey-Bass A Wiley Brand