ギグワーカーと非正規雇用4

前回はギグワーカーと非正規雇用どちらが、
生きる上でどちらが有効かということでしたが、
さらに深掘ってみました。

鵜飼の鵜は鵜匠に大切にされている

ギグワーカーの現状を「鵜飼の鵜」と比較すると、
ギグワーカーはさらに厳しい状況に置かれていると言えるかもしれません。

その理由をいくつか挙げてみます。

1. 鵜飼の鵜には守られた環境がある

鵜飼の鵜は、
鵜匠に管理され、
適切な餌や住環境が提供されます。

鵜匠の指導のもとで育てられ、
鵜が生きていくためのサポートがあるため、
最低限の生活環境が保証されています。

一方で、ギグワーカーは自己責任のもと働くことが基本であり、
企業やプラットフォームからの保障はほとんどない状況です。

2. ギグワーカーの不安定な立場

ギグワーカーは、
自身が所属する組織やプラットフォームによって
長期的な保障や雇用の安定が提供されないため、
常に次の仕事を見つける必要があります。

鵜飼の鵜とは異なり、
ギグワーカーはスキルの自己研鑽や経済的なリスクを個人で抱える必要があり、
労働市場の変動に対しても脆弱です。

3. プラットフォームへの依存度と報酬の低さ

ギグワーカーは、
プラットフォーム企業に大きく依存していますが、
その報酬体系は不安定で、
プラットフォームの手数料によって大幅に
削減されることがあります。

鵜飼の鵜は鵜匠からの指導と
共に最低限の生活を維持できますが、
ギグワーカーは自己負担で仕事を探し、
保障もなく、働く環境を整えなければなりません。

このため、鵜飼の鵜よりも厳しい現実に直面していると考えられます​。

4. 労働者としての法的保護の欠如

鵜飼の鵜は、
鵜匠によって飼育されているため、
最低限の保護が存在します。

一方で、ギグワーカーは従業員としての法的保護をほとんど受けておらず、
社会保険や福利厚生の対象外です。

結果として、病気や怪我、
仕事の不足などに対応するためのセーフティネットがないため、
自己責任でリスクを負う必要があります​。

結論

ギグワーカーは、
表面的には自由な働き方を享受しているように見えますが、

実際には非常に不安定な状況に置かれ、
自己責任のもとで多くのリスクを背負っています。

鵜飼の鵜が鵜匠の保護を受けながら生きるのに対し、
ギグワーカーはそのような保護を期待できず、
より過酷な労働環境に晒されていると言えます。

この点から、ギグワーカーは「鵜飼の鵜」よりも
厳しい現実に直面しているという見方もできてしまいます。

非正規雇用との共通点

ギグワーカー非正規雇用には多くの共通点があり、
両者ともに不安定な労働環境法的保護の不足が問題とされています。

ただし、非正規雇用とギグワークの法的保護には、
いくつかの重要な違いがあります。

1. 非正規雇用の歴史と法的保護の発展

もともと非正規雇用(パートタイムや契約社員)は、
正規雇用と比較して法的保護が不十分な状況にありました。

例えば、日本では非正規雇用者に対して
社会保障や福利厚生が正規雇用者ほど整っておらず、
賃金や雇用の安定性も確保されていませんでした。

しかし、2000年代以降、
日本の法制度は徐々に非正規雇用者の権利保護を
強化する方向に動いています。

パートタイム・有期雇用労働法(旧:パートタイム労働法)などの法整備により、
一定の条件を満たす非正規労働者にも正規雇用者と
同等の待遇を提供することが求められるようになりました。

これにより、賃金や労働条件における格差が是正されつつあります​。

2. ギグワーカーの法的保護の現状

一方、ギグワーカーは「独立請負業者」として
扱われることが多いため、
従業員としての法的保護を受けることができません。

ギグワーカーは、
プラットフォームを通じて仕事を得るものの、
その法的地位は労働者ではなく、
企業と直接的な雇用関係がないため、
雇用保険や社会保険の対象外となります。

ギグワーカーは自己責任で仕事を探し、
労働条件もプラットフォームに依存することが多いため、
労働者としての権利保護はまだ十分ではありません。

これが、非正規雇用者との大きな違いとなります。
たとえ非正規雇用者でも、
雇用契約に基づき、最低限の労働者保護が適用されるのに対し、
ギグワーカーはその範囲外です​。

3. 両者の共通点

非正規雇用者とギグワーカーは、
いずれも以下のような特徴を共有しています。

労働の不安定さ:どちらも長期的な雇用の保証がないため、経済的な不安を抱えることが多い。

報酬の低さ:正規雇用と比較して、賃金や報酬が低く設定されることが多い。

社会保険や福利厚生の欠如:非正規雇用者に対する保護は進んできましたが、ギグワーカーは依然として自己責任で社会保険に加入する必要があります。

4. 今後の法整備の必要性

ギグワーカーに対する法的保護の拡充は、
今後の重要な課題です。

特に、プラットフォームビジネスが急成長する中で、
ギグワーカーの権利保護が強化されることが期待されています。

アメリカやヨーロッパでは、
ギグワーカーを労働者として認定し、
法的保護を拡充しようとする動きも進んでいますが、
企業側との対立も激しい状況です​。

まとめると

ギグワーカーと非正規雇用者は、
どちらも不安定な労働環境に置かれていますが、
非正規雇用者は法整備により徐々に保護が強化されてきた一方で、
ギグワーカーは依然として法的保護が不十分な状態です。

長期的には、
ギグワーカーにも非正規雇用者と同様に法的な権利保護が
拡大されることが求められていますが、
現状では「使い捨て感」がより強いと感じられるのは自然なことです。

次回は長期にわたり働いていくにはを考えていきたいと思います。

ギグワーカーと非正規雇用5へつづく