コンピテンシー(Competency)とは
特定の業務や役割において優れたパフォーマンスを
発揮するために必要な知識、スキル、行動、
特性などを総合的に指す概念です。
単なる技術や知識だけではなく、
業務上で成功するために必要な行動特性や考え方、態度も含まれます。
コンピテンシーの主要要素
知識:
ある業務を遂行するために必要な情報や理論の理解。
スキル:
業務を実行するための実際の技術や能力。
行動特性:
業務における態度やアプローチの仕方。
例えば、リーダーシップやチームワーク、
問題解決能力などが挙げられます。
動機や価値観:
その人の行動に影響を与える内面的な要素で、
パフォーマンスに直接影響を及ぼす。
コンピテンシーモデル
多くの組織では、
職種ごとに必要なコンピテンシーをリスト化し、
それを基に社員の評価や育成プログラムを行っています。
具体例としては、
リーダーシップコンピテンシー、
対人スキル、技術的コンピテンシーなどがあります。
これにより、
企業は従業員がどの程度役割に適しているかを評価し、
その成長を支援することができます。
事例
たとえば、
ある企業ではビッグファイブ性格分析を活用して、
従業員のコンピテンシーと性格特性(外向性、協調性、誠実性など)の関係を調べ、
特定の業務に対する適性を判断するケースがあります。
これにより、
特定の性格特性が高い従業員に適したリーダーシップ開発プログラムが設計されることがあります。
コンピテンシーの重要性
コンピテンシーは、
単なるスキル開発や知識習得以上に、
業務での実際の行動に焦点を当てるため、
特にリーダーシップ開発やパフォーマンス向上のためのツールとして非常に有効です。
また、
組織全体のパフォーマンスを向上させるために、
各役割ごとのコンピテンシーを定義し、
それに基づいた人材育成が行われることが多いです。
このように、
コンピテンシーは、
単なる能力の評価だけでなく、
社員の育成計画や業務効率化に向けた重要な基準として企業で広く活用されています。
コンピテンシー(Competency)の概念
1970年代にアメリカの心理学者であるデイヴィッド・マクレランド(David McClelland)によって提唱されました。
彼は、
従来のIQテストや学歴といった測定指標が、
実際の仕事の成功やパフォーマンスを必ずしも予測しないことに疑問を持ち、
パフォーマンスをより正確に予測できる指標を探しました。
マクレランドの研究
1973年に発表された論文
「Testing for Competence Rather Than for Intelligence(知能ではなく能力をテストする)」において、
彼は職務で成功するための特定の「コンピテンシー」(行動、スキル、態度などの具体的な要素)
を測定することの重要性を主張しました。
彼の研究は、
特に教育やカウンセリングの分野で使用され、
従来の知能検査や学歴による評価ではなく、
実際に職場で高いパフォーマンスを発揮するために必要な要素に焦点を当てました。
コンピテンシーの要素
マクレランドの理論では、コンピテンシーは次のような要素で構成されます:
知識(Knowledge):
仕事を遂行するために必要な情報や理解。
スキル(Skills):
実際に仕事を行うための技術や能力。
行動特性(Behaviors):
業務における効果的な行動やアプローチ。
動機(Motivations):
高いパフォーマンスを達成するための内的な動機や価値観。
その後の発展
マクレランドのコンピテンシーの考え方は、
企業や組織のリーダーシップ開発、
人材育成、採用プロセスで広く採用されるようになりました。
今日では、
コンピテンシーモデルが企業の業務改善や社員教育において不可欠なツールとなっています。
企業は従業員のコンピテンシーを評価し、
職務に適したスキルや行動を育成するためのプログラムを設計しています。
さらに簡潔に
コンピテンシーの概念は、
デイヴィッド・マクレランドによる研究に端を発し、
職務でのパフォーマンスをより正確に予測するための指標として、
現代の人材開発や評価の根幹となっています。
【参考文献とサイト】
McClelland, D. C. (1973). “Testing for Competence Rather Than for Intelligence.” American Psychologist.
Competency Models – Harvard Business Review
IvyPanda.Psychology and Personality.“Big Five Personality Model Analysis Case Study”,2024/07/17
コンピテンシーその2へつづく