前回は年代別の性格特性とSNSの利用時間との関係についてお伝えしました。
今回はその続きで、年代別で性格特性により連絡の取り方の方法が違うということ、
性格特性がSNS媒体の利用についても影響しているという内容から、
簡潔にマーケティング応用方法についてもお伝えしていきます
友人との通話・連絡頻度と年代別の性格特性
- 外向性:
- ほぼ全年代で、通話やテキスト頻度が高い群は外向性が高い。
- 特に男性15~24歳を除き、有意差が認められる。
- 協調性、勤勉性:
- 高頻度の群でこれらの得点が高い傾向。特に男性60~79歳、女性25~39歳、40~59歳で顕著。
- 神経症傾向:
- 頻度が高いほど神経症傾向が低い傾向があるが、特定の年代に限定される。
友人との通話・テキスト連絡頻度
- 外向性が高い人ほど頻度が高い:
- 外向性が高い人は他者とつながり、
交流を深めることに積極的であるため、
通話やテキストの頻度が自然に高くなります。 - テキスト連絡の利用:
- テキストメッセージを使うことは記録として残るため、
確実性や正確性を重視する傾向の表れと考えられます。 - 勤勉性の高さとの関連性は、
計画的で細やかな注意を払う性格特性と一致します。
- テキストメッセージを使うことは記録として残るため、
- 外向性が高い人は他者とつながり、
- 協調性が高い人の高頻度連絡:
- 他者に対する配慮が強く、
相手との良好な関係を維持しようとする姿勢が頻繁な連絡につながっていると考えられます。
- 他者に対する配慮が強く、
SNS利用と年代別の性格特性
X(エックス)利用
- 外向性:
- 男性15~24歳、40~59歳で、利用者の外向性が低い。
- 協調性:
- 男性40~59歳で利用者の協調性が高い。
- 勤勉性:
- 女性40~59歳で利用者の勤勉性が低い。
- 神経症傾向と開放性:
- 全年代で有意差は見られない。
Instagram利用
- 外向性:
- 多くの年代で、利用者の外向性が高い。
- 勤勉性:
- 男性25~39歳、女性40~59歳で、利用者の勤勉性が高い。
- 神経症傾向:
- 男性25~39歳、女性40~59歳で、利用者の神経症傾向が低い。
- 開放性:
- 中高年層(男性25~39歳、40~59歳、女性60~79歳)で利用者の開放性が高い。
SNS利用状況
- X(エックス)利用者の外向性が低い傾向:
- 匿名性が高く、
自分の考えや内面を発信する場として利用するケースが多いため、
「他者との直接的な交流を避け、自分の世界を保つ」ことが重視されている可能性があります。
- 匿名性が高く、
- Instagram利用者の外向性と勤勉性が高い傾向:
- 外向性が高い人は、写真や動画を通じて自身を表現し、
他者とのつながりを拡大することを楽しむ傾向があります。 - 勤勉性が高い人は、投稿内容の計画や質を重視することで、
コツコツと自己表現を磨くことが関連していると考えられます。
- 外向性が高い人は、写真や動画を通じて自身を表現し、
- SNS発信者の開放性が高い傾向:
- 新しい経験に対して前向きで、
未知のトピックやコミュニケーションの場を積極的に追求する性格特性が現れていると考えられます。 - SNSでの発信は自己表現の新たな形態であり、
開放性の高い人にとって魅力的な活動です。
- 新しい経験に対して前向きで、
全体の考察
調査結果は、
性格特性がスマートフォンやSNS利用行動と密接に関連していることを示しています。
特に以下の点が重要です:
- 利用頻度や手段は、即時性の重視や他者との交流スタイルを反映。
- SNSの種類によって、利用者の性格特性が異なる。
- 開放性が高い人は、新しい経験を求める傾向が強く、SNSを活用している。
これらの解釈は、
調査結果に基づくものですが、
個々人の背景や利用目的によっても影響を受けるため、
多様な視点で理解することが重要です。
スマートフォン利用の性格特性の結果をマーケティングに応用する際、
ターゲット層に応じて戦略を調整することが効果的です。
以下は、各年代および性格特性の傾向をもとにしたマーケティング応用のアイデアです。
1. 若年層(15~24歳)へのアプローチ
- 特徴:
- 外向性と勤勉性が低い一方、神経症傾向が高い。
- 開放性は高く、新しい経験やトレンドに敏感。
- マーケティング応用:
- 短期的な満足感を提供: 短期間で結果が得られる商品やサービス(例: ファストファッション、ゲームアプリ、即時配信の動画コンテンツ)。
- 新しさを訴求: トレンド性や目新しさを強調したキャンペーン(例: 期間限定商品や新機能リリース)。
- SNS重視: InstagramやTikTokなど、ビジュアルを活用したプラットフォームを中心にプロモーション。
2. 中年層(25~39歳、40~59歳)へのアプローチ
- 特徴:
- 外向性、協調性、勤勉性がバランスよく高い。
- 神経症傾向は低下し、安定している。
- 実用性や計画性を重視する傾向。
- マーケティング応用:
- 効率性と実用性を強調: 時間を節約し、生活を簡素化する商品やサービス(例: 家事代行サービス、サブスクリプション型ツール)。
- 家族や職場での役割に焦点: 家族向けパッケージ、ビジネス用途の提案(例: 子供向けの教育アプリ、ビジネス用のクラウドサービス)。
- 信頼感の醸成: 実績や他の顧客の満足度を強調(例: レビューや導入事例の活用)。
3. 高齢層(60~79歳)へのアプローチ
- 特徴:
- 外向性、協調性、勤勉性が最も高い。
- 神経症傾向が最も低く、安心感を求める傾向。
- 新しい体験にも比較的前向き。
- マーケティング応用:
- 安心感と信頼感を重視: シンプルで安心して使える商品やサービス(例: 使いやすいスマートフォンやヘルスケアアプリ)。
- 社会的つながりを活用: コミュニティやグループ活動を推進するプロモーション(例: オンライン講座、趣味のサークル)。
- 伝統と革新のバランス: 既存の価値観を尊重しつつ、新しい提案を含める(例: 懐かしさを訴える広告と最新技術を融合した商品)。
4. SNSプラットフォームの利用戦略
- X(エックス):
- 外向性が低い層に向けて、
自分の世界観を共有できる商品やサービスを提案(例: 趣味や専門性に特化した情報発信ツール)。
- 外向性が低い層に向けて、
- Instagram:
- 外向性や勤勉性が高い層をターゲットに、ビジュアル重視のブランド認知向上キャンペーン。
- コツコツ取り組む楽しさをアピールする商品(例: 趣味のクラフトキットやDIYプロジェクト)。
タイミングの選択
- 土曜の活用:
- 若年層: 学校やアルバイトが少ない土曜日は、動画やSNSプロモーションの効果が高まる可能性がある。
- 中年層: 週末に家族で利用できる商品やサービス(例: レジャー施設や家庭用品)の購入促進。
- 高齢層: 週末にイベントや地域活動への参加が増えるため、これに関連した商品やサービス(例: 旅行や趣味関連)を訴求。
まとめ
- 性格特性と年代の違いを活用することで、
商品やサービスの訴求ポイントを明確化できます。 - 土曜日を利用する戦略は、
ターゲット層ごとに適切なメディアやタイミングを選べば効果的です。 - 今後は、各プラットフォームでのユーザーの行動パターンをさらに詳しく分析することで、
より精度の高いマーケティングが可能になります。
最後までご覧いただきありがとうございました。
参考資料
小島誠也, 近藤勢津子, 吉良文夫, 飽戸弘(2023). 『スマートフォン利用行動と性格特性の関連』, 2024年12月4日アクセス. https://www.moba-ken.jp/project/mobile/20230410.html