ビッグファイブとSNS戦略

ビッグファイブとスマホ利用には関連があるということで、
その1その2と2回に分けてお伝えしました。

今回は番外編、SNS媒体の利用には、ビッグファイブが影響しています。
さらに「性格特性がSNSの利用方法にどう影響するのか?」を探り、
マーケティングへの応用方法を考えます。

SNSマーケティングとビッグファイブ

1.SNS利用行動と性格特性の関係

調査によると、SNSごとにユーザーの性格特性が異なる傾向が見られました。
以下は、各SNSとビッグファイブの性格特性の関連性です。

X

  • 特徴:
    • 利用者の外向性が低い傾向。
    • 自分の内面や世界観を発信する場として利用されやすい。
    • 匿名性が高いことも影響し、感情や意見を自由に表現できる。
  • マーケティングの示唆:
    • 深い洞察や専門性をアピールするコンテンツが有効。
    • ユーザーが「自分の考えを共有したい」と思うような議論を促す投稿を意識。

Instagram

  • 特徴:
    • 利用者の外向性と勤勉性が高い傾向。
    • 写真や動画で自己表現し、他者からの評価を楽しむユーザーが多い。
  • マーケティングの示唆:
    • ビジュアルに強く訴求する広告が効果的。
    • ライフスタイルに関連するブランドや製品が親和性高。

Facebook

  • 特徴:
    • 外向性と協調性が高いユーザーに支持される。
    • コミュニティやグループを活用し、家族や友人との関係を維持する目的で利用。
  • マーケティングの示唆:
    • 情報共有やつながりを意識したコンテンツが重要。
    • 長文やストーリー性のある投稿がエンゲージメントを高める。

TikTok

  • 特徴:
    • 開放性が高く、外向性も比較的高い層に人気。
    • 楽しい、新しい体験を追求する若年層が多い。
  • マーケティングの示唆:
    • ユーモアやトレンドを取り入れた動画コンテンツが最適。
    • ユーザー参加型キャンペーンでブランド認知を高める。

2. 性格特性に基づくマーケティング戦略

外向性(Extraversion)

  • 高い人:
    • コミュニケーションやつながりを楽しむ傾向。
    • SNSでの発信や交流を好む。
    • 戦略: インタラクティブなコンテンツやイベントを提案(例: Instagramライブ、TikTokチャレンジ)。
  • 低い人:
    • 自分の世界観を大切にする。
    • SNSでは情報収集や自己表現を控えめに行う。
    • 戦略: 見やすく簡潔な情報提供、匿名性を意識した投稿(例: Twitterでの静的なインフォグラフィック)。

協調性(Agreeableness)

  • 高い人:
    • 他者と良好な関係を築くことを重視。
    • 戦略: 感謝の意を込めたキャンペーンや、コミュニティを強化する取り組み(例: Facebookグループ、チャリティ活動)。
  • 低い人:
    • 批判的で独立心が強い。
    • 戦略: 客観的なデータや事例を中心にアプローチ(例: 製品レビューや実績紹介)。

勤勉性(Conscientiousness)

  • 高い人:
    • 計画的で実用的な情報を求める。
    • 戦略: タスクリストや時間管理ツール、実用性を重視したプロモーション。
  • 低い人:
    • 即時的な満足を追求。
    • 戦略: 短期間で得られるメリットを強調(例: 限定セール、クーポン配布)。

神経症傾向(Neuroticism)

  • 高い人:
    • 不安やストレスを感じやすい。
    • 戦略: 安心感や信頼性を強調(例: 簡単なチュートリアル、リスクフリーなオファー)。
  • 低い人:
    • 感情的に安定しており、新しいことにも積極的。
    • 戦略: 挑戦や冒険心を煽るメッセージ(例: 新しい体験を推奨するプロモーション)。

開放性(Openness)

  • 高い人:
    • 新しい経験に対して前向き。
    • 戦略: クリエイティブでユニークなアプローチ(例: TikTokやInstagramでアートを活用)。
  • 低い人:
    • 保守的でルーチンを好む。
    • 戦略: 利便性や信頼性を重視した訴求(例: 明確な手順や実績を強調)。

3. マーケティング応用例

具体的な事例提案

  • アプリ開発:
    • 外向性の高い層向けに、友達との共同タスク管理アプリを提供。
    • 開放性が高い層向けに、クリエイティブな作品を共有できるプラットフォームを構築。
  • SNS広告:
    • 勤勉性の低い層には短期的なメリットを、協調性の高い層には社会貢献を強調した広告を展開。
  • 製品プロモーション:
    • 開放性が高い層には「限定デザイン」や「ユニークな使い方」を提案。
    • 神経症傾向が高い層には「返金保証」や「リスクゼロ」のメッセージを付加。

業界別アプローチと具体例

1. 消費財(ファッション・コスメ)

ターゲット層の性格特性
  • 外向性が高い層(Instagram中心)
  • 勤勉性が高い層(商品レビュー重視)
  • 開放性が高い層(新製品、限定コレクション)
具体的なキャンペーン事例
  • キャンペーン名: 「#自分らしさ発見キャンペーン」
  • 内容:
    • インフルエンサーとのコラボ動画(Instagram、TikTok)。
    • 「新商品先行販売」イベントをSNS投稿コンテストで実施。
    • 顧客レビューキャンペーンを組み込み、勤勉性が高い層に製品評価を促進。
  • 成果測定指標:
    • 投稿数、商品レビュー数、SNSエンゲージメント。

2. 教育サービス(オンライン学習プラットフォーム)

ターゲット層の性格特性
  • 勤勉性が高い層(学習プラン作成に積極的)
  • 協調性が高い層(グループ学習やチームタスク好む)
  • 神経症傾向が高い層(サポート重視)

具体的なキャンペーン事例

  • キャンペーン名: 「#学び続ける力チャレンジ」
  • 内容:
    • 進捗管理アプリとの連携。
    • 「目標達成プログラム」に参加すると特典が得られる。
    • 定期的な進捗報告キャンペーンで上位達成者を表彰。
    • サポート専用チャットボット導入。
  • 成果測定指標:
    • 新規登録者数、進捗管理の完了率、プログラム達成率。

3. 金融・保険業界

ターゲット層の性格特性
  • 勤勉性が高い層(投資計画の策定が得意)
  • 神経症傾向が高い層(リスク回避を重視)
  • 開放性が低い層(安心と安定重視)
具体的なキャンペーン事例
  • キャンペーン名: 「未来を計画するあなたへ」
  • 内容:
    • 年金保険や積立投資プランの無料相談会。
    • シミュレーションツールの提供。
    • 「安心の返金保証プラン」広告キャンペーン。
    • 資産運用の無料講座動画シリーズを配信。
  • 成果測定指標:
    • 相談申し込み数、シミュレーションツールの利用数、成約件数。

4. ヘルスケア(フィットネス・健康管理アプリ)

ターゲット層の性格特性
  • 勤勉性が高い層(習慣形成に熱心)
  • 外向性が高い層(チーム運動を好む)
  • 神経症傾向が高い層(健康維持のためのサポート重視)
具体的なキャンペーン事例
  • キャンペーン名: 「#毎日健康チャレンジ」
  • 内容:
    • 運動習慣をサポートするアプリの活用。
    • 「7日間健康維持チャレンジ」で成果報告キャンペーンを実施。
    • 定期的な健康情報メールマガジン配信。
    • 専門家との無料オンラインセッションのプレゼント。
  • 成果測定指標:
    • アプリのアクティブユーザー数、成果報告投稿数、チャレンジ完了率。

5. 旅行・観光業

ターゲット層の性格特性
  • 開放性が高い層(新しい体験を求める)
  • 外向性が高い層(仲間と旅行を楽しむ)
  • 勤勉性が高い層(計画的な旅行プラン策定)
具体的なキャンペーン事例
  • キャンペーン名: 「#未知の冒険を体験しよう」
  • 内容:
    • 新しい観光スポット紹介のPR動画制作。
    • グループ割引キャンペーン。
    • 計画的な旅をサポートする旅程作成ツールの提供。
    • インフルエンサー旅行体験の配信。
  • 成果測定指標:
    • 予約件数、旅程プラン利用率、口コミ数。

深掘りポイントまとめ

  • キャンペーン設計の重要点:
    • 対象顧客の性格特性に基づき、行動パターンに合ったコンテンツを開発。
    • SNS広告は、性格特性ごとに異なるクリエイティブを展開
      (例: 外向性が高い層にはInstagram広告、内向性が高い層にはTwitter広告)。
  • 効果測定の指標設定例:
    • SNSエンゲージメント率、クリック数。
    • 商品・サービスの申込数。
    • ユーザー登録や資料請求の件数。

これらの業界別のキャンペーン事例とターゲット設定の方法は、
あくまでも参考例です。

扱う商品によって使う媒体に適性があるかと思います。
ご覧いただいた方々のビジネス発展のヒントになれば幸いです。

最後までご覧いただきありがとうございます。

参考資料

小島誠也, 近藤勢津子, 吉良文夫, 飽戸弘(2023). 『スマートフォン利用行動と性格特性の関連』, 2024年12月4日アクセス. https://www.moba-ken.jp/project/mobile/20230410.html