
前回はHRツール「TOiTOi」を利用することで、
環境整備にかかる時間が早くなるというお話でした。
ここでは6つのシフトを取り入れた企業の変化についてお話をしていきます。
6つのシフトを取り入れた企業の変化と環境構築
McKinseyのレポートで提唱されている「6つのシフト」は、
実際に企業が取り入れた事例から得られた知見であり、
それを実践した企業は組織の持続的な成功につなげています。
ここでは、具体的に6つのシフトを導入した企業の事例と、
それによってどのような変化が起こったのか、
どのように環境を構築したのかを詳しく解説します。
1.共通の目的(Common Purpose)を明確にする
◆具体例:パタゴニア(Patagonia)
◆取り入れる前の課題
- 環境保護を理念として掲げていたが、全社員に浸透しきれていなかった
- 企業の成長と理念の両立が難しくなり、組織の方向性がぶれていた
◆実施した環境構築
・「地球を救うためにビジネスを行う」という明確なミッションを掲げた
・ 社員全員が理解・共感できるストーリーを発信(社内ミーティング・ワークショップ)
・ 企業の利益を目的とせず、環境保護に還元する姿勢を貫いた
◆変化
・社員のエンゲージメントが向上し、「環境を守る」という目的が組織に浸透
・ミッションドリブン経営がブランド価値を向上させ、収益の安定化にもつながった
2.権威主義リーダーシップの終焉
◆具体例:マイクロソフト(Microsoft)
◆取り入れる前の課題
- スティーブ・バルマー時代のマイクロソフトはトップダウン型の管理が強く、イノベーションが停滞
- 縦割り組織が強く、部門間の協力が難しかった
◆実施した環境構築
・サティア・ナデラがCEOに就任し、「共創」と「オープンな文化」へシフト
・リーダーの役割を「管理」から「支援」に変更し、社員の自律性を尊重
・全社的にコラボレーションツール(Teamsなど)を導入し、情報共有を強化
◆変化
・企業文化がオープンになり、部門間のコラボレーションが活性化
・クラウド事業(Azure)の成功につながり、株価が飛躍的に成長
3.データ駆動の意思決定
◆具体例:ネットフリックス(Netflix)
◆取り入れる前の課題
- DVDレンタル事業からストリーミングに移行する際、意思決定が感覚的だった
- 顧客ニーズを正確に把握できず、競争が激化していた
◆実施した環境構築
・ AI・ビッグデータ分析を活用し、視聴データをもとに番組制作を決定
・ユーザー行動を細かく分析し、パーソナライズしたレコメンドを提供
・「データを根拠に議論する」文化を徹底し、主観を排除した意思決定を促進
◆変化
・データに基づくオリジナルコンテンツ制作が成功し、視聴者数が拡大
・競争優位性を確立し、世界的な動画配信サービスのリーダーに
4.従業員のエンゲージメントと心理的安全性
◆具体例:Google
◆取り入れる前の課題
- 心理的安全性が低いチームは成果が出にくいことが研究で明らかになった
- 競争文化が強く、ミスを恐れて意見を出しにくい風土だった
◆実施した環境構築
・「プロジェクト・アリストテレス」を実施し、心理的安全性の重要性をデータで証明
・社員が自由に意見を言える場(オープン・ミーティング)を積極的に導入
・上司が部下の話を傾聴する「サーバント・リーダーシップ」を推進
◆変化
・チームの生産性が向上し、Googleのイノベーション力が加速
・従業員の離職率が低下し、優秀な人材が集まりやすくなった
5.テクノロジー投資をビジネス成果に直結
◆具体例:アマゾン(Amazon)
◆取り入れる前の課題
- 多くの企業がIT投資を進めるものの、収益化につなげられないケースが多かった
◆実施した環境構築
・AWS(Amazon Web Services)を立ち上げ、クラウド技術をビジネスの中心に
・データを活用し、在庫管理や物流の効率化を進める
・自動化技術(AI・ロボット)を導入し、人的ミスを削減
◆変化
・AWSがAmazonの収益の柱となり、企業全体の成長を牽引
・ IT投資がコストではなく、売上向上につながるビジネスモデルを確立
6.サステナビリティから社会的責任へ
◆具体例:ユニリーバ(Unilever)
◆取り入れる前の課題
- サステナビリティは重要だが、経済的な利益と両立できるかが不透明だった
◆実施した環境構築
◆ 「サステナブル・リビング・プラン」を策定し、環境負荷を削減しつつ収益を上げる戦略を採用
◆ 消費者の意識を変えるマーケティングを展開(例:環境負荷の少ない製品のPR)
◆ 社内のKPIを環境負荷削減と利益向上の両立に最適化
◆変化
・売上が伸びると同時に、環境への負荷も低減
・ESG投資家からの評価が高まり、株価が安定
まとめ
・6つのシフトは、企業の環境整備と文化変革の結果、成功につながっている
・導入には、経営層のコミットメントと、環境整備のための具体的な取り組みが必須
課題を明確にすることで、課題に合わせた環境構築を行ない、
企業を健康な組織へと変えていきました。
何をするのかを明確にし、社員を巻き込める関係性や環境があることで、
どの企業も変化を起こせたのではないでしょうか。
あなたの組織やチームの関係性はどうでしょうか。
今回は、6つのシフトを実際に活用し、
持続的な成長を遂げた企業の事例を参考に、
自社でも導入を検討すると効果的です!
参考資料
マッキンゼー・アンド・カンパニー(2024). 『Healthy Organizations Keep Winning, But the Rules Are Changing Fast』, 2025年2月21日アクセス. https://www.mckinsey.com/capabilities/people-and-organizational-performance/our-insights/healthy-organizations-keep-winning-but-the-rules-are-changing-fast
健康的な組織は勝ち続けるが、ルールは急速に変化している7へつづく