
契約社員や会社員で給与所得があり、
個人事業主としての売上がない場合の税務処理について、
合法的な視点で詳しく解説します。
給与所得と売上がない税務処理
結論
- 個人事業の売上がゼロでも、経費を計上して赤字が出れば給与所得と損益通算が可能。
- ただし、「事業実態がない」「継続性がない」と判断されると、税務署に否認されるリスクがある。
- 赤字を給与所得と損益通算できるかどうかは、「その副業が事業と認められるか」がポイント。
① 個人事業の売上がゼロでも事業として認められるか?
✅ 事業と認められる場合
個人事業として認められるには、以下の条件を満たす必要がある:
- 収益を得るための継続的な活動がある
- 例: フリーランスのデザイナーが受注活動をしているが、まだ案件を獲得できていない。
- 例: ネットショップを開業したが、集客がうまくいかず売上が出ていない。
- 売上が見込まれる状況がある
- 例: 事業用の設備投資(PCやソフトウェア、広告費)を行っている。
- 例: 見込み客がいて、将来的に収益化できる可能性がある。
- 帳簿をつけており、開業届を提出している
- 青色申告の承認を受けていると、税務署に「事業」として認められやすい。
▶ この場合、赤字を給与所得と損益通算できる可能性が高い。
❌ 事業と認められない場合
以下のようなケースでは、税務署に「単なる趣味・準備段階」と判断され、損益通算を認められない可能性が高い:
- 単なる趣味の延長
- 例: 「趣味でブログを書いているが、収益化の予定がない」
- 例: 「動画を作っているが、収益化はしていない」
- 活動の実態がない
- 例: 開業届を出したが、何もしていない(広告活動なし、事業用の支出なし)。
- 例: 会社に副業がバレないように開業届を出しただけで、実際の事業活動がない。
- 将来の売上見込みがまったくない
- 例: 本人が「売上を出すつもりがない」と言っている。
- 例: 「とりあえず個人事業主になってみたが、ビジネスプランがない」。
▶ この場合、税務署が損益通算を認めない可能性が高い。
▶ 仮に確定申告で赤字を給与所得と通算しても、税務調査で否認されるリスクがある。
② 売上ゼロの個人事業で経費を計上した場合
- 事業として認められれば、経費を計上できる
- 事業と認められなければ、経費が否認される(または雑所得扱いに)
✅ 事業として認められる場合の経費の例
- 広告費(SNS広告、Google広告など)
- 開業準備費用(ドメイン取得費、サイト作成費、機材購入)
- 通信費(事業用の携帯、Wi-Fi)
- 会議費・交際費(クライアントとの打ち合わせ)
- 教育費(事業に関連する講座、セミナー)
▶ これらの経費を計上し、赤字を給与所得と損益通算できる可能性あり。
❌ 事業として認められない場合
- 全ての経費が否認され、雑所得扱いになる(または、税務署から事業認定を取り消される)。
- 赤字を給与所得と損益通算できなくなる。
③ 青色申告特別控除は受けられるか?
- 事業として認められれば、売上ゼロでも65万円の青色申告特別控除が適用可能。
- ただし、税務署が「事業ではない」と判断すれば適用不可。
④ 確定申告するべきか?
状況 | 確定申告の必要性 |
---|---|
会社員の給与のみ(副業なし) | 20万円以上の副業収入がない限り不要 |
会社員+個人事業(売上ゼロ) | 損益通算を狙うなら申告推奨 |
会社員+個人事業(赤字) | 給与所得と通算できるなら申告推奨 |
会社員+個人事業(売上あり・赤字) | 申告推奨(損益通算) |
会社員+個人事業(売上あり・黒字) | 申告必須 |
⑤ まとめ
✅ 節税のポイント
- 事業として認められれば、売上ゼロでも経費計上OK
- 赤字なら給与所得と損益通算できる(ただし税務署の判断次第)
- 税務署が「事業ではない」と判断すると損益通算が認められない
- 青色申告を活用すれば65万円の控除も可能(ただし事業性が必要)
- 副業の収益が出る見込みがあるなら、確定申告をして節税すべき
❌ 節税できない(or リスクがある)ケース
- 売上を出す気がないのに経費を計上する(単なる趣味・脱税行為)
- 実態のない事業(単なる開業届提出だけ)
- 収益化の計画がなく、単なる節税目的とみなされる
✅ 最適な対応
- 副業の収益化を真剣に考え、事業の継続性を証明できる活動を行うことが重要。
- 税務署に事業として認めてもらえるよう、売上計画や活動内容をしっかり記録することがポイント。
- 売上がゼロでも、開業準備段階なら経費を計上できる可能性があるので、適切に確定申告するのが望ましい。
この内容は日本の所得税法に準拠しており、違法な脱税行為を推奨するものではありません。
適法な節税の範囲内で説明しており、税務調査で否認されないように正しく申告することが重要です。
最後までご覧いただきありがとうございます。
給与所得があり、個人事業主としての売上がないその2へつづく