税制改正は毎年発表されますが、資料は分量が多く、
専門用語も多いため「結局、自分に関係があるのはどこか」が分かりにくいものです。
一方で、家計に影響するポイントは限られており、
生活者としては “関係があるところだけを正しく理解し、意思決定に使う” ことが大切です。
この記事では、令和8年度税制改正のうち、
生活者に関係が深い 「手取り」「住宅」「NISA」 に絞って、
要点を分かりやすく整理します。
(※本記事は制度の一般的な整理であり、
個別の適用可否は所得状況・世帯状況等により異なります。)
家計にどう影響するの?
1. 手取り:控除の引上げで「生活防衛」を厚くする
まず影響範囲が広いのが、所得税に関する控除の引上げです。
- 合計所得2,350万円以下の人について、基礎控除が62万円に引き上げ
- 給与所得者について、給与所得控除の最低額が69万円に
これは「最低限ここまでは税負担を抑える」というラインが上がることを意味します。
派手な制度ではありませんが、家計においてはこうした“地味な改善”が積み重なることで、
可処分所得(手取り)の体感につながります。
2. 「178万円の壁」:働き方の選択を阻害しにくい方向へ
いわゆる「○○万円の壁」は、
扶養・パート・副業など、働き方の意思決定と密接に関わります。
令和8年度税制改正の資料では、
課税最低限を 「178万円」へ先取りして引き上げる方向性が示されています。
令和8年税制適用については、所得税が令和8年分(年末調整から)、
住民税が令和9年度という整理です。
重要なのは、「壁がすべて一度に解消される」というより、
働き控えが起こりにくい方向へ制度を寄せている点です。
家計設計の実務としては、制度の変更だけで判断するのではなく、
- 家族の時間をどう確保したいか
- 収入をどこまで伸ばしたいか
- 将来の大きな支出(住宅・教育等)にどう備えたいか
といった“優先順位”と合わせて考えることが安全です。
3. 住宅:住宅ローン控除は「省エネ性能」が判断軸に
住宅分野では、認定住宅・ZEH水準・省エネ基準適合などの枠組みで、
借入限度額や控除期間等が整理されています。
また、買取再販(リフォーム等を経た住宅)に関する注記もあります。
実務的に言い換えると、制度は次の方向に近い整理です。
「新築が有利」一辺倒ではなく、
中古でも省エネ性能が高ければ評価されやすい
ただし、FPとして最も強調したいのは、
控除は“補助”であって“目的”ではないという点です。
住宅購入の意思決定で最重要なのは、
控除の有無よりも 返済の安全性(家計に無理がないか) です。
4. NISA:0歳からの枠で「未来資金」を準備しやすく
令和8年度税制改正では、NISAの年齢要件等が整理され、
0〜17歳の枠が設けられるイメージで示されています。
- 0〜17歳:年間投資枠 60万円
- 非課税保有限度額 600万円
- 18歳で大人制度へ移行
- 12歳以上は子の同意があれば親の払出しが可能 令和8年税制
また、つみたて投資枠の対象として、
指数(国内株式指数、先進国・新興国指数)などを追加整理し、
債券比率が高い投信も対象にする旨が示されています。
家計における意味は明快で、教育費や将来資金など“ゴールがあるお金”を、
時間を味方にして準備しやすくする方向です。
5. NISAは「やるべき」ではなく「使える道具」
NISAの話題は熱量が上がりやすい一方で、
「やる/やらない」の二択で語られると、
かえって意思決定が固まりやすくなります。
私の整理はシンプルです。
- NISAは「やるべき」ではなく、使える道具
- やらない選択もOK
- ただし、知った上でやらないにすると後悔が減る
制度は人を幸せにするための“道具”なので、
道具に振り回されず、
目的(どんな暮らしをしたいか)から逆算することが大切です。
6. 意思決定を進める3つのチェック
制度理解を行動につなげるために、次の3つだけ確認してみてください。
- 毎月いくらなら積立に回せるか:(1,000円でもOK)
- 3年以内の大きなイベント:(住宅・出産・転職など)は何か
- 投資の不安の正体は何か:「値動き」/「仕組み」/「過去体験」
令和8年度税制改正を生活者目線から
- 手取り:控除の引上げで生活防衛を厚く
- 壁:178万円方向へ(働き方の選択を阻害しにくい方向)
- 住宅:省エネ性能が判断軸になりやすい
- NISA:0歳からの枠で未来資金を準備しやすい
最後に
税制は毎年変わります。
でも、「何を守り、何を育てたいか」という価値観は、
そんなに頻繁には変わりません。
だから税制改正は、
不安材料ではなく “家計の優先順位を整える機会” として使うのが合理的です。
免責事項
本記事は、令和8年度税制改正に関する公表資料をもとに、
一般的な情報提供を目的として作成しています。
税制の適用可否や影響額は、所得状況・家族構成・居住地・資産状況・取引内容等により異なります。
本記事の内容は特定の金融商品・税務上の取扱いを推奨するものではなく、
個別の税務判断・申告等については、税理士等の専門家への確認をおすすめします。
記載内容は作成時点の情報に基づくため、
制度の改正・解釈変更等により変更される可能性があります。





