
前回はOBSEとTMXについてお話をすすめました。
ここではLMX・TMX・OBSE・OCB・ビッグファイブ(誠実性)が、
どう相互に影響し合うかを構造的に調査した内容についてお話を進めていきます。
この研究の“設計と分析方法”のポイント
1. 使用された変数・モデル
要素 | 内容 |
---|---|
性格特性 | 誠実性(HEXACO-60) ※協調性も測定したが信頼性が低く除外 |
職場環境 | LMX(上司との関係) TMX(同僚との関係) 相互依存性(タスク設計) |
心理的媒介要因 | OBSE(組織内自尊感情) |
行動変数 | OCB(対人的援助、職務上の配慮、誠実行動の3因子) |
2. 分析方法
✔ 共分散構造分析(SEM: Structural Equation Modeling)
- LMX、TMX、タスクの相互依存性 → OBSE → OCB という因果モデルを構築
- OBSEが「媒介変数」として働くかを検証
✔ 多母集団分析(誠実性の高低によるグループ比較)
- 「誠実性が高い人」と「低い人」の2群に分け、
環境要因(LMX/TMX/相互依存性)の効果の違いを比較
結果から見えてきた構造
【1】OBSEはOCBの“媒介変数”として強力に機能
- LMXやTMXは、直接はOCBに影響せず、
OBSEを通じて間接的にOCBに影響を与えていた。
【2】誠実性 × 職場環境 の“相互作用”が重要
誠実性の違い | OCBを高める要因 |
---|---|
高い人 | TMX(同僚との関係)の良さが影響大 |
低い人 | LMX(上司との関係) や タスク設計の工夫が必要 |
つまり──
誠実性が低くても、環境を整えれば助け合い行動(OCB)は引き出せるという、
前向きな結果が得られています。
因果モデルの全体像(要約)
[誠実性(性格特性)]
↓
[LMX / TMX / 相互依存性]
↓(間接的に)
[OBSE]
↓
[OCB]
研究からの実務インサイト
- OCBは性格だけで決まるのではなく、関係性と感情で育てられる
- OBSEという“心理的媒介”を意識することで、
上司やチームの関わり方が変われば、行動も変わる - 誠実性が低い人にも“ハマる育成環境”がある
この研究モデルは、TOiTOiの3分類(理性・比較・感性)と組み合わせるとさらにパワフルです。
たとえば:
- 理性タイプ → OBSEの言語化が特に効く
- 比較タイプ → タスク構造と裁量設計がカギ
- 感性タイプ → 仲間との共感・信頼(TMX)がスイッチになる
誠実性が低い人にもハマる育成環境
結論からズバッと:
誠実性が低い人でも、関係性と関わり方しだいで、感情→思考→行動が変わる。
その「関係性と関わり方」が、“ハマる育成環境”なんです。
もう少し分解すると…
ステップ | 内面で起きること | 組織ができること |
---|---|---|
① 関わられ方 | 「ちゃんと見てもらえてる」「信頼されてる」 | LMX(信頼関係)や1on1での傾聴・承認 |
② 感情が動く | 「自分もここで役に立てるかも」 | OBSEが育つ(=“ここにいていい”感覚) |
③ 思考が変わる | 「ちょっと協力してみようかな」 | 仕事の意味づけ、裁量の付与、役割設計 |
④ 行動が変わる | 自発的なOCB(助け合い・配慮など) | TMXの中で自然と貢献・協力が始まる |
ポイントは「性格≠運命」だという視点
- 誠実性が低い=計画性や粘り強さが弱い傾向はある
→ でも、「雑に扱われてきた経験」や「自分を活かせる環境がなかった」だけかもしれないということです。 - LMX(上司)やTMX(同僚)の関係性が整えば、
→ 「ここならやってみよう」と思えて、新しい行動が引き出される可能性が広がっていくのです。
その特性に合った環境を作り出すことで、人を活かせるということです。
環境の重要性がよく理解できる内容です。
“誠実性が低い人にハマる”育成環境の特徴
要素 | 実践例 |
---|---|
✔ 心理的安全性 | 指摘ではなく対話。雑談から信頼形成。 |
✔ LMXの質 | 上司が「裁量+信頼」をセットで渡す |
✔ 自己効力感の醸成 | 成果より“意味”にフォーカスしたフィードバック |
✔ タスクの相互依存性 | 「自分がいないと回らない」感のある役割設計 |
✔ TMXの活性化 | 仲間からの称賛・支援が自然と得られる文化 |
TOiTOiが活きるところ!
TOiTOiでタイプや強み、動機を把握できれば、
こうした“ハマる関わり方”を個別最適化できます💡
たとえば:
- 理性タイプ:感情より「理念・意味」に響く
- 感性タイプ:楽しく認められる場で本領発揮
- 比較タイプ:自分のペースと納得が超大事
TOiTOiは(PFのダウンロードはここから)、
Team Of Inventorhy・組織編成分析の略語で、組織の適材適所を科学的に分析し、
最適なチームをつくるツールです。
TOiTOiの由来はドイツ語で「幸運のおまじない」を意味するtoitoitoi、
相性を可視化し、働きやすい環境を実現します。✔ 強みと相性をデータで分析
✔ 生産性向上 & 離職率低減
✔ 直感ではなく科学で組織を最適化TOiTOiで、組織をもっと強く、働きやすく。
人は思考し、感情があり、行動へと繋がっていきます。
ある住職の方は、人は思考が生まれ、感情が生まれると解いています。
はたしてこれは全ての人に当てまるのか。
「思考 → 感情 → 行動」型の流れとは?
人はまず頭で“意味づけ”をし、そこに感情が伴い、行動へと移る。
この流れは特に、以下のような人に当てはまりやすいです:
- 理性タイプ(TOiTOiの黄色タイプ)
- ビッグファイブで誠実性・開放性が高いタイプ
- 論理や納得を重視する傾向が強い人
例を挙げてみましょう:
ステップ | 内容 | 組織内での反応例 |
---|---|---|
◉ 思考(意味づけ) | 「この仕事はなぜ自分に任されたのか」 | 「なるほど、役割として納得できるな」 |
♡ 感情(動機) | 「自分をちゃんと見てもらえている」 | 「期待に応えたいな」 |
◆ 行動(実践) | 自ら手を挙げ、OCB(助け合い行動)が起きる | チームを支えたり、提案したりする |
対して「感情 → 思考 → 行動」になる人もいる
これは感性タイプ(赤)や外向性が高いタイプに多い傾向。
- まず「楽しい!」「おもしろそう!」と感情が先に動く
- そのあとで「これって、役に立つかも」と意味づけ
- そして行動へと繋がっていくのです。
組織でのポイントは「どちらのタイプにも対応する設計」
アプローチ | 対象タイプ | 組織でできること |
---|---|---|
思考→感情→行動型 | 理性タイプ・慎重派 | 意味づけをしっかり伝える/納得ベースの1on1 |
感情→思考→行動型 | 感性タイプ・直感型 | 雰囲気・ワクワク・称賛でスイッチを入れる |
つまり⇩
「人を動かす」=「思考と感情の順番を見極めること」
この理解があると、
・関わり方も
・研修設計も
・採用後の育成も
劇的に“ハマる”精度が高くなります。
比較タイプ(TOiTOiの青タイプ)は…
実はこの「思考 ↔ 感情 ↔ 行動」の流れにおいて、“ワンテンポ置いてから動く、
超慎重型”なんです。
しかも、「納得」と「自分のタイミング」がすべての鍵を握ります。
比較タイプの“感情・思考・行動”プロセスの特徴
感情と思考が交互にグルグルするタイプ!
◉「この仕事、自分に合ってるのか?」
↓(少し感じてみる)
▼「あ、でも意外と楽しいかも?」
↓(また思考が働く)
◉「でも、今やるべきかな…?」
納得・準備・自己タイミング」が揃ったら行動に出る
比較タイプにありがちな行動傾向
項目 | 傾向 |
---|---|
◆ 行動までの時間 | 長め。じっくり考える |
◆ 決断のしかた | 情報収集 → 比較検討 → 納得が最優先 |
◆ 感情の扱い | 「感情」も大事にしてるけど、まず自分の内側で確かめる |
◆ 外からの関わり | 「急かされる」と逆効果。静かに応援・信頼されると動く |
比較タイプ向け「思考→感情→行動」のスイッチ設計
フェーズ | 組織でできる関わり |
---|---|
◉ 思考 | 「判断材料を丁寧に渡す」 ✔ 比較できる情報 ✔ メリット・デメリットの明示 |
♡ 感情 | 「安心して試せる空気」 ✔ 試行OKな文化 ✔ 否定されない風土 |
◆ 行動 | 「自分で選んだと感じられる余白」 ✔ タイミングを委ねる ✔ 提案ベースで渡す |
他タイプとの違いまとめ
タイプ | 感情・思考の順番 | スイッチになる関わり |
---|---|---|
理性(黄) | 思考 → 感情 → 行動 | 意味と理由の言語化 |
感性(赤) | 感情 → 行動 →(あとで思考) | ワクワク・共感・即体験 |
比較(青) | 思考 ↔ 感情(ぐるぐる型) → 行動 | 納得するまで待つ+情報の提供+自己決定感 |
実務応用ヒント(比較タイプ向け)
- ✔ まずは話させるより、聞かせてあげる
- ✔ すぐ返事を求めない/確認は“余白”付きで
- ✔ 「あなたに合うと思って」という理由づけが響く
- ✔ 選べる状態(選択肢あり)で渡すのがベスト
まとめ一言:
比較タイプは、「今すぐ動かす」のではなく、
“動き出したくなる場”を静かに整えるのが正解。
TOiTOi診断で比較タイプの特性を把握したら、
上司もチームも“待つ関わり”と“静かな支援”で伸ばせます。
性格の合わせた環境を用意することで、人財を活かす方法がわかる研究内容です。
いろいろ研究調査がありますが、人財を活かす方法が語られているのは少ないのではないでしょうか。
現在では心理的安全性のある組織が人財を活かすということが認識されています。
しかし、多くの企業がどのようにすればいいか、ここに悩んで思考錯誤しています。
私は常に環境が大事だと言っています。環境ねえという声が聞こえてくるような反応がほとんどです。
学術的に語られているということは、どの企業にも適用できる可能性があることです。
ほとんどの企業は、わかっているが、行動していない問うことがほとんどです。
人財を活かすには性格も認識しておくことの重要性もこの研究調査では語られています。
性格分析にはTOiTOiが活かせるということもデータ的から得られたのは大きな収穫です。
人を活かすには時間も労力もかかりますが、それがハマり出した時に大きな発展に繋がります。
あなたの組織は人財一人一人がか輝ける舞台つまり環境が用意されていますか。
最後までご覧いただきありがとうございます。
参考資料
乗松未央・木村裕斗(2021).
『性格特性と職場環境の相互作用が若年就業者の組織市民行動に与える影響:組織内自尊感情による媒介効果に着目して』,
『産業・組織心理学研究』, 35巻2号, pp.151-166.
2025年3月23日アクセス.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jaiop/35/2/35_235/_article/-char/ja/
OCB:職場の環境要因と社内の協力関係6へつづく